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prologue


 

深々堂本舗の深々は、
いつも浅薄、軽薄、心浅く、
いっこうに深まる気配のない自分への
次元の低い願望です

 

掲載コンテンツは、
その生を肯定も否定もできない
半端者の行方知れずのひとり言です

 

傲慢かもしれません
もし一行でも心に届くことがあれば、
それにまさるものはありません

prologue


 

深々堂本舗の深々は、
いつも浅薄、軽薄、心浅く、
いっこうに深まる気配のない自分への
次元の低い願望です

 

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半端者の行方知れずのひとり言です

 

傲慢かもしれません
もし一行でも心に届くことがあれば、
それにまさるものはありません

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深々堂本舗の深々は、
いつも浅薄、軽薄、心浅く、
いっこうに深まる気配のない自分への
次元の低い願望です

 

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それにまさるものはありません

profile 月足渡

 


編集者、制作者

学校卒業後、出版社に勤務

退社後、制作ユニットを主催

おもに紙媒体を制作

 

住処:東京、性別男、O型

関心事:競馬、音楽、本(電書を含む)

 

オシ馬:ステイフーリッシュ(3才牡)

音楽:ヨハン・ヨハンソン

   Celtic Pop Country

1年を通じ読みたい本:夏目漱石

profile 月足渡

 


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学校卒業後、出版社に勤務

退社後、制作ユニットを主催

おもに紙媒体を制作

 

住処:東京、性別男、O型

関心事:競馬、音楽

 

2017年オシ馬ヤマカツエース(牡5才

音楽は、ポップスはアンドラ・デイ 

クラシックはアントン・アレンスキー

profile 月足渡

 


編集者、制作者

学校卒業後、出版社に勤務

退社後、制作ユニットを主催

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住処:東京、性別男、O型

関心事:競馬、音楽

 

2017年オシ馬ヤマカツエース(牡5才

音楽は、ポップスはアンドラ・デイ 

クラシックはアントン・アレンスキー

books

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SHINSHIN DOU HONPO

Welcome to 深々堂本舗 / 月足渡の Web です。

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oath 大震災に

 

なにかできると決して驕らず
なにもできないと自分を責めず
涙は拒み、絆、共苦と強弁することもなく
いつものように起き、ご飯を食べ
仕事があれば仕事をし、またご飯を食べ
お風呂に入り、眠る
そして、たまには夢も見る

 

こうした日常のなかで
自分にできることを
できるときにすればいいと思う

oath 大震災に

 

なにかできると決して驕らず
なにもできないと自分を責めず
涙は拒み、絆、共苦と強弁することもなく
いつものように起き、ご飯を食べ
仕事があれば仕事をし、またご飯を食べ
お風呂に入り、眠る
そして、たまには夢も見る

 

こうした日常のなかで
自分にできることを
できるときにすればいいと思う

oath 大震災に

 

なにかできると決して驕らず
なにもできないと自分を責めず
涙は拒み、絆、共苦と強弁することもなく
いつものように起き、ご飯を食べ
仕事があれば仕事をし、またご飯を食べ
お風呂に入り、眠る
そして、たまには夢も見る

 

こうした日常のなかで
自分にできることを
できるときにすればいいと思う

●『沈まぬ太陽』(山崎豊子著、新潮文庫全5巻)。1985年日航ジャンボ機墜落事故を扱った約20年前の「国民的ベストセラー」。「沈まぬ太陽」とは「終わらない日」の意味と勝手に思う。なにが終わらないのか。物語に描かれている利権に群がり、たかり、貪り、自己保身に汲々とする魑魅魍魎の輩たちとの不断の闘い。しかし現実は‥。沈んだ太陽度98点。

 

●『フルトヴェングラー』(脇圭平、芦津丈夫著、岩波新書)。20世紀最高の指揮者とされるフルトヴェングラーを語る。政治学者・丸山真男を交えた座談会よりも、前に置かれた「フルトヴェングラーとその時代」「芸術家フルトヴェングラー」にこの音楽家の本質が描かれているような気がする。ただ自分にはさっぱり度95点。

 

●『海を抱く BAD KIDS』(村山由佳著、集英社文庫)。‥。読みました度93点。

 

●『人間の旬』(大村智著、毎日新聞出版)。2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智さんの随筆。著者は山梨県韮崎市生まれ。同市に友人がいた(故人)。文中に描かれた韮崎の美しい自然に友人の姿が重なりなつかしく読む。歳月人を待たず度95点。

 

●『未来の年表2 人口減少日本であなたに起こること』(河合雅司著、講談社現代新書)。ベストセラー『未来の年表』の続編。人口減少、少子高齢化で、地方消滅ではなく日本消滅がわかる本。だれでも年をとる。第2部「今からあなたにできること」は必読。なんでもいいから働けるうちは働こう度97点。

 

●『未来に先回りする思考法』(佐藤航陽著、ディスカバートゥエンティワン)。時代を先取りしすぎた交流電流の発明者ニコラ・テスラのエピソードは示唆的。自分の回りで今後どのような「必要性」が生まれるか‥。空回り度93点。

 

●『それまでの明日』(原尞著、早川書房)。著者14年りの新作と話題になった作品。期待して読むが‥。おなじみ探偵・沢崎とともに物語を先導する若者・海津の長台詞は退屈。引っ張って引っ張って最後はこれ?度91点。

 

●『封印歌謡大全』(石橋春海著、三才ブックス)戦前・戦後の、禁句、猥褻、反体制的傾向などの理由から放送禁止になった歌謡曲158を集大成した本。封印された歌からこそ真実、時代が見える?封印度88点。

 

●『さらば長き眠り』(原尞著、ハヤカワ文庫)。緻密な展開が読書心を後押し。一方、物語終盤の杜撰な検死が問題になるような展開には不満も‥。小説だからまあいいか度91点。

 

●『私が殺した少女』(原尞著、ハヤカワ文庫)。煙草、珈琲好きな私立探偵・沢崎が活躍、映画の印象的なシーンが連続するような物語展開。おもしろさ充実。登場人物のひとりである作家が「埴谷雄高の『死霊』を勝手に書き終えた」という記述が登場。それも読んでみたい度98点。

 

●『ガリレオの苦悩』『虚像の道化師』(東野圭吾著、文春文庫)。『ガリレオ探偵』の続編。前者では「人の心も科学です」(第2章、ガリレオ博士・湯川学の言葉)が、後者では「傘のお礼」(第6章「偽装う」)が印象的。1章80ページ前後。区切りがついて車内読書に最適度90点。

 

●『探偵ガリレオ』(東野圭吾著、文春文庫)。理系オンチ刑事・草薙と親友、ガリレオ先生こと湯川物理学助教授が、レーザー、ナトリウムなど理系トリックを使った殺人事件に挑む。突然頭が燃え出す第1章「燃える」が印象的。あとがきは俳優・佐野史郎さん。理系オンチはなにを読んでもオンチのまま度91点。

 

●『白洲次郎  占領を背負った男』(北康利著、講談社)。「吉田が富士なら、白洲は宝永山」(大宅壮一)と形容され、吉田茂の腹心として戦後日本の道筋づくりに多くの足跡を残した白洲次郎の評伝。さまざまな肩書をもつが、「日本で始めてジーンズをはいた男」もその一つ。はきごこち度90点。

 

●『あかね空』(山本一力著、文春文庫)。江戸中期、上方から江戸へ出て、京とうふ屋・京やを営む永吉・おふみ夫婦とその子供たち、親子二代の年代記。終章、富岡八幡の「あかね色のひかりの帯」の描写は美しい。2001年下半期直木賞作品。あかね空は人情色度90点。

 

●『増山超能力師事務所』(誉田哲也著、文春文庫)。残留思念や遠隔読心、念写などを使って「事件」を解決する超能力師事務所の物語。全7話。男女両機能をもった真正半陰陽の明美ちゃんが主人公の6話、多重人格障害、サイコな女子高校生が主役の7話がとくに充実。LGBT度92点。

 

●『豆の上で眠る』(湊かなえ、新潮文庫)。「産みの親より育ての親」という。兄弟姉妹は?同親より同環境の共有か。「本ものって、何ですか」。取り違え度93点。

 

●『保守の真髄 老衰狂で語る文明の紊乱』(西部邁、講談社現代新書)。2018年1月に亡くなった著者遺作。さまざまな先人の言葉を引用しながら今を論じる。最終章最終節「人口死に瀕するほかない状況で病院死と自裁死のいずれをとるか」に記された「死に方は生き方の総仕上げ」の意味での「自裁死」に共感も‥。浅学実感度97点。

 

●『不安な個人、立ちすくむ国家』(経産省若手プロジェクト、文藝春秋)。本書は、2016年8月発足した経産省20代・.30代の有志30名によるプロジェクトチームが、半年にわたって議論(「富の創造と分配」「セーフティネット」「国際秩序・安全保障」の3グループにわかれ議論)した結果をまとめたもの。ではどうする度97点。

 

●『ほの暗い永久から出て 生と死を巡る対話』(上橋菜穂子 津田篤太郎、文藝春秋)。「なんのために生き、なんのために死ぬのか。(中略)なぜ、問うように、脳ができているのか」(上橋)にはじまる、生と死、心、性、進化、AI、身体などをめぐる往復書簡。問いへのAIの答えが気になる度96点。

 

●『星々の舟』(村山由佳、文春文庫)。2003年直木賞作品。いつ読んでも状況に耐えうる作品。「雪虫」「子どもの神様」「ひとりしずか」「青葉闇」「雲の澪」「名の木散る」の6連作短編からなる一家族の物語。6つの星は決して星座になることはない。背後に瞬けない星が必ずあるから‥。星座度94点。

 

●『漁港の肉子ちゃん』(西加奈子、幻冬舎文庫)。楽しく読むも、過剰。なにが過剰‥。つくりすぎでどこか嘘くさい、真実が足りない。劇画的。肉子ちゃんは、漁港の焼き肉店で働く本書の主人公。なんでも食べ、ありのままに生きている。だから太っている。焼肉度85点。

 

●『ジリ貧大国ニッポン』(福岡政行、毎日新聞出版)。2025年の日本を見据え、高齢社会の現実、非正規雇用労働者の暮らし、格差社会、社会保障費激増など66の問題点を指摘。指摘だけではなく12の提言を‥。2025年はどうしているか度91点。

 

●『歩きながら考える 建築も、人生も』(安藤忠雄、PHP研究所)。建築家という仕事から見た自分のこと、ITのこと、環境のこと、日本のこと‥。タイトルは『人間は、歩きながら何かを考える。時には「自分の人生は、これでいいのか」ということも考えます』との一文から。万歩計度87点。

 

●『0(ゼロ)円で生きる  小さくても豊かな経済の作り方』(鶴見済、新潮社)。貰う、共有する、拾う、稼ぐ、助け合う、行政から貰う、自然界から貰う。賃労働と消費を中心とする経済から、贈与や共有に基づいた無料(0円)の経済圏づくりを提案する本。脱資本主義スタイル探し度90点。

 

●『ビジネスで使える経済予測入門』(中原圭介、ダイヤモンド社)。著者は、リーマンショック前の経済状態に疑問を呈し、リーマンショックを予言していた経済アナリスト。経済予測の要点を解説すると同時に、デフレ=不況、インフレ=好況という経済学的誤りを指摘。反アベノミクス度92点。

 

●『まほろ駅前多田便利軒』(三浦しをん、文春文庫)。直木賞受賞、映画化もされた作品だからおもしろい、とは限らない。が、おもしろい。老若男女問わず依頼はできるだけ引き受け、一度引き受けたからにはきちんとこなす、が当便利屋の理念。自分もそうありたい度95点。

 

●『うつくしい人』(西加奈子、幻冬舎文庫)。帯の「西さんはすごい!〇〇直樹、〇〇靖子‥」の惹句に魅かれて読む。「私」はいろいろ思いを話しているけど、自己嫌悪と自意識の痕跡があるだけで肉体がない。存在稀薄。帯に魅かれた自分がバカでした度93点。

 

●『葉桜の季節に君を想うということ』(歌野晶午、文春文庫)。2004年版「このミステリーがすごい」第1位作品。本格ミステリーというよりバラエティミステリー。麻宮さくらがあいつだったとは‥。だまされた度90点。

 

●『徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話』(徳川宗英、文春文庫)。各将軍や御三家、御三卿など徳川家に伝わるエピソード集。クイズ番組で答が一つ増えそうな本。売れっ子戯作者・山東京伝作品の版元・蔦谷重三郎の記述が。この人、日本における出版社の嚆矢とされる人。レンタルDVD「TUTAYA」の名は、この人の名前から。 少し物知りになれそう度90点。

 

●『川の深さは』(福井春敏、講談社文庫)。新興宗教団体の地下鉄テロ、北が見え隠れするアポクリファ計画の真相とは。仕事、生き方、恋に永田町、市ヶ谷(自衛隊)、桜田門(警察)の主導権争いが絡む一大アクション・スペクタクル。傑作!川の深さは深い度99点。

 

●『たんぽぽ娘』(ロバート・F・ヤング、伊藤典夫編、河出文庫)。米国のSF作家ロバート・F・ヤングの13の短編を編んだ作品集。表題の『たんぽぽ娘』の他『エミリーと不滅な詩人たち』『荒寥の地より』『ジャンヌの弓』などの好編が。たんぽぽ咲いた度88点。

 

●『標的』(パトリシア・コーンウェル、池田真紀子訳、講談社文庫上下)。米国のベストセラー、検屍官ケイ・スカーペッタ・シリーズ第22作。当シリーズ初読。検屍描写、興味津々。スマートライフルを使用した連続殺人事件の犯人は思わぬ方角からやってくる。エンターテインメント度90点。

 

●『重力ピエロ』(伊坂幸太郎、新潮文庫)。泉水と春という「異父」兄弟の物語。連続放火と落書きには遺伝子の設計図が反映されていた。同時にある連続暴行事件の記憶も。放火、落書き犯はだれ、そして暴行犯は‥。反遺伝子的家族度97点。

 

●『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(河合隼雄VS村上春樹、新潮文庫)「各人はそれぞれの責任において、自分の物語を創りだしていかねばならない」(河合)。「自分のなかにどのようなメッセージがあるのかをさがしだすために小説を書いているような気がします」(村上)。だから心を掘り、地下を掘る。掘削度91点。

 

●『自分イノベーション』(夏野剛 総合法令出版)。自分IT化の総括と遅れている自分アップデートの一助に楽しみながら読む。著者は「iモード」や「おサイフケータイ」などドコモの新規事業を企画・実践した一人。自分更新度86点。

 

●『草枕』(夏目漱石、青空文庫)。「山路を登りながら、かう考えた。智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ‥」の冒頭は有名。漱石初期の名作という。草枕は旅先での宿のこと。それは人の世を嫌い新たな感覚美を探す主人公・若き画家の思いの象徴か。腕枕度94点。

 

●『天久鷹夫の推理カルテ』(知念実希人、新潮文庫)。総合病院を舞台にしたメディカル・コミックミステリー。主人公27歳、天才女医。すいすい読めるが、クスリと笑わせようという表現が過剰で、かえってあまり笑わない。病院度91点。

 

●『世界トップ企業のAI戦略』(EYアドバイザリー、日経BP)。精密農業、ものづくり、自動車、インテリジェントホーム、医療の各分野で、世界のトップを行く52社の人工知能ビジネス戦略を紹介。著者は世界150ヵ国あまりで多様なサービスを展開するコンサルタント会社。なんでもAI度90点。

 

●『ヤスケンの海』(村松友視、幻冬舎)。ヤスケンは「海」「マリークレール」(中央公論)などの編集者、安原顕氏(2003年没)のこと。かつて同僚でもあった著者が、スーパーエディターと形容された破天荒編集者ヤスケンの、書き、ほめ、けなし、怒り、笑う、その海を描く。満ち潮度91点。

 

●『私の中小企業論 挑む社長の応援歌!』(宮内義彦、日経BP社)読了。「ベンチャーは二段階続けて成功させる覚悟‥」や「(自分の)才覚の範囲以上にビジネスは大きくならない」の指摘に首肯する。そうならないための知恵が平明に記されている。一段ロケット度88点。

 

●『琴のそら音』(夏目漱石、青空文庫)。余はインフルエンザにかかった婚約者の容体悪化を心配するが、とりこし苦労に終わり安心するという筋だが、「狸の××をつつむ」の爆笑表現もあれば、「寒からぬ春風に、濛々たる小雨の吹き拂われて青空の底まで見える心地」の美しい表現もある佳作。美しいタイトル度90点。

 

●『経済は世界史から学べ」(茂木誠著、ダイヤモンド社)。経済の仕組みが平明に解説された良書。先物取引の起源はギリシャの哲学者タレースに。ピラミッドはニューディール政策だった。ニュートンは株で大損したなどのエピソードも。「民主政治においては、人々は自らにふさわしい政府しかもてない」(アレクシ・ド・トクヴィル)との引用が印象的。学んだ度91点。

 

●『坊ちゃん』(夏目漱石、青空文庫)。電書(青空文庫)で読む。旧制中学に赴任した、江戸っ子、形式的偽善を嫌う庶民的な正義感の持ち主、24歳の数学教師・坊ちゃんの青春記。明治時代のスクールもの。文章は軽快、明快。青春小説度90点。

 

●『幻夜』(東野圭吾、集英社文庫)。約800ページ。最後まで読ませるのだから文句は不要?それでも贅言が許されるなら、なぜその女は新海美冬という別人になる必要があったのか、いまひとつ不明。もう一人の主人公・雅也が通っていた下町の定食屋『おかだ』のような店が近くにあるといいのですが。肉野菜炒め定食大盛り度88点。

 

●『キリン』(山田悠介、角川文庫)精子バンクから天才の精子を買い子どもを産んだ母親とその二人の子どもの物語。兄の名は秀才、弟の名は麒麟。秀才は数学の天才、麒麟はやさしい心の持ち主だった。二人の将来になにが待っているのか。頭の良し悪しで子を差別する母親の意地悪なこと。一気読み度94点。

 

●『いたいのいたいの、とんでゆけ』(三秋縋、メディアワークス文庫)。著者作品は『恋する寄生虫』に続き二作目。ある夜、僕は飲酒運転で一人の少女をはねる。その少女には「あったことをないことにできる」不思議な力が。終盤はつじつま合わせのよう‥。『寄生虫』が勝ち度91点。

 

●『カラフル』(森絵都、文春文庫)帯に「高校生が選んだ読みたい文庫No.1」、さらに「大人も泣ける青春小説。累計100万部突破の名作」と。人にはいろんな色がある。だからカラフル。主人公が見た色は真っ暗闇。泣かない度91点。

 

●『あなたに不利な証拠としてな』(ローリー・ドラモンド、駒月雅子訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)。人を殺した経験をもつ警官、事故で障害を背負った警官など、5人の女性警察官を主人公にした連作。07年の「このミステリーがすごい!」作品だが、非ミステリー。著者は元警察官。つかまる度97点。

 

●『虐殺器官』(伊藤計劃、ハヤカワ文庫)。世評高く傑作とされる国際軍事謀略サスペンス。テロ、格差、貧困、環境、グローバリズムなど様々な要素を盛り込む。カフカ談義も登場。カフカは安全ヘルメットの考案者。主人公は国家的殺人=暗殺を遂行する米国情報軍特殊検索群大尉。物語に弾丸飛び交う。ヘルメット度98点。

 

●『僕らの社会主義』(國分功一郎・山崎亮、ちくま新書)。マルクス・レーニンの社会主義、キリスト教的、審美的社会主義など、いろいろな社会主義が。いろいろな社会主義のいいところを主義から離れて、取り入れて行こうという一冊。キーワードは参加。新名募集度91点。

 

●『マッキンゼーが予測する未来 近未来のビジネスは、4つの力に支配されている』(リチャード・ドッブスト他、吉良直人訳、ダイヤモンド社)。著者は、世界有数のコンサルティングファームとされるマッキンゼーの経営および世界経済の研究部門、MGS(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)の研究メンバー。4つの力とは、経済の重心の移動、テクノロジーインパクト、地球規模の老化、グローバリゼーション。未来楽観度88点。

 

●『花咲舞が黙ってない』(池井戸潤、中公文庫)。TVドラマにもなった東京第一銀行の跳ねっ返り娘・花咲舞が、行内トップに巣食う不正に迫る。あの半澤直樹が物語終盤で活躍。跳ねっ返り度93点。

 

●『吾輩は猫である』(夏目漱石、青空文庫)。初読は本、旧字旧仮名。以来30余年。再読は電書、新字新仮名。四文字熟語の宝庫。冥頑不霊(めいがんふれい)、灼然炳乎(しゃくぜんへいこ)、琳琅璆鏘(りんろうきゅうそう)、悖徳没倫(はいとくぼつりん)。わからない。猫度86点。

 

●『十角館の殺人(新装改訂版)』(綾辻行人、講談社文庫)。寝食を忘れて没読、耽読。闇の海に投げ入れたガラス壜は、だれの元に届いたか。新本格ミステリーの嚆矢。おすすめ耽読度97点。



●『ライ麦畑でつかまえて』(J.D.サリンジャー、野崎孝訳、白水Uブックス)。意気地なし、弱虫の主人公・僕(ホールデン・コールフィールド)、宙吊りになった自我の着地点をさがして‥。1951年の作品。主人公はいまも生きている。つかまらない度91点。

 

●『我が心は石にあらず』(高橋和巳著、新潮社、古書)戦後日本の労働組合運動をテーマにした小説。主人公は組合委員長として運動を推進する一方、隠された関係が‥。不倫は等価交換。固定化された条件下で成立する。条件が変われば関係は流動化する。懲りない男と女の労働運動度89点。

 

●『熱狂の王 ドナルド・トランプ」(マイケル・ダントニオ著、高取芳彦・吉川南訳、発売インプレス)。Twitter、Facebook、インスタ、LINE、自撮り、自己宣伝‥、CGMを通して自我拡大できる現代。「トランプは現代を生きるわれわれの誇張された姿に過ぎない」。それに同意・不同意は自由。結局わからない度98点。

 

●『生きる日  死ぬ日』(水上勉、福武書店)小さな村に生きる人々、家族の風景が15景。失われた日本の原風景がここにあるような。こういう作品を書く作家、きっと今はもういない。棺桶づくり仙六の殯の場面は胸を打つ。失われた風景度96点。

 

●『追憶の作家たち』(宮田毬栄著、文春新書)。追憶の作家たちは、松本清張、西條八十、埴谷雄高、島尾敏雄、大岡昇平、石川淳、日野啓三の7人。著者は元文芸雑誌「海」編集長。追憶度92点。

 

●『難解人間VS躁鬱人間  埴谷雄高VS北杜夫』(中央公論社、古書)宇宙、黒沢映画、ファウスト、巨人・阪神戦、米と梅干‥、対談時間11時間、話題は天から地へ、ミクロからマクロへ、勝手気儘、縦横無尽、支離滅裂、無法に散らばる。マラソン対談度97点。

 

●『深沢紅子 随筆集 追憶の詩人たち』(教育出版センター、古書)。著者は盛岡生まれの洋画家、装丁家。立原道造、堀辰雄、野村英夫らの思い出をつづる文章は、さまざまな花が咲き、木々は色づきスケッチ画のよう。絵画度95点。

 

●『幕末バトル・ロワイヤル 井伊直弼の首』(野口武彦著、新潮新書)安政の大獄のころ、大地震、大水、コレラ(安藤広重はコレラで死す)、ドナチ彗星‥と天は裂け、大地は揺れ、状況混沌。「政治史と災害史とは、同じ布地に織り込まれて進行する」。幕末織物度93点。

 

●『中原中也「山羊の歌」全釈』(太田静一著、鳥影社、古書)中原中也の詩解釈に一石を投じる一冊。著名詩「汚れつちまつた悲しみに」は、中也自身のことではなく、恋人だった長谷川泰子を揶揄する詩という。「汚れつちまつた」おどろき度91点。

 

●『邪宗門』(高橋和巳、河出文庫上下)。上下各600ページ。昭和という時代と正対した戦後文学の高い峰の一つ。第二部第二章冒頭、戦中の大阪貧民窟の描写は美しい。超おすすめ度99点。

 

●『詩人 高見順 その生と死』(上林猷夫著、講談社、1991年、古書)。詩人による詩人・小説家・高見順(1965年没)の評伝。「蹴らないでくれ 眠らせてほしい もうここで ただひたすら 眠らせてくれ」(高見順『死の淵より』から「小石」)。小石は蹴りたい度91点。 

 

●『読書の腕前』(岡崎武志著、光文社知恵の森文庫)。書評家、ライターの岡崎武志さんの読書履歴、読書遍歴。最終章『蔵書のからの「蔵出し」おすすめ本』は読書自在。負けずに読みたくなる度93点。

 

●『富永太郎 書簡を通して見た生涯と作品』(大岡昇平、中央公論、古書)。富永太郎は大正14年、24歳で夭折の詩人・画家。中原中也にボードレーヌ、ランボーらの存在を教えた。「よく星のすべる晩だ。一服吸う間に二十四も星がすべった」(大正10年8月12日付書簡から)。この流星はペルセウス座流星群。約100年前、東京の夜空には降るように流星が‥。星に願い度96点。

 

●『日本はこの先どうなるのか』(高橋洋一著、幻冬舎)。マイナス金利、イギリスEU離脱、アベノミクスの評価など日本の現在を解説する第一部と集団的自衛権を中心に日本が戦争に巻き込まれない戦略を語る第二部からなる。「願うだけで平和が実現できるなら、世界はとっくに平和になっている」。ごもっとも度91点。

 

●『古本道入門』(岡崎武志著、中公文庫)。古紙と印刷インキがまざったような古書店のにおいがする一冊。古本・古本屋さんについて多くの発見が‥。古くて新しい度96点。

 

●『ブレイブ・ストーリー』(宮部みゆき、角川文庫上中下)。ベストセラーになったファンタジー冒険小説。幻界の国のひとつ、薬になるという涙の水をつくる「ティアズヘブン」のエピソードが印象的。一気読み度97点。

 

●『恋の寄生虫』(三秋縋、メディアワークス文庫)。恋は寄生虫のせいなのか、それとも‥。物語に出てくる寄生虫「ナナホシクドア」は名前のとおり星のよう。人を終宿主とする寄生虫は、泣き虫、弱虫、えへん虫‥。どこかのノーベル賞候補の小説よりずっとおもしろい度95点。

 

●『フルトヴェングラー』(吉田秀和、河出文庫)。フルトヴェングラーの演奏はほとんど聴いたことがない。著者の文章もほとんど読んだことがない。そして思う。音楽は音の連なりであって、そこに思想性はない。音楽が聞こえない度98点。

 

●『安井かずみがいた時代』(島崎今日子、集英社文庫)証言でたどる作詞家・安井かずみの真実。日本の青春、1960年代・70年代のポップシーン通覧にも格好の書。時代度94点。

 

●『ブビリア古書堂の事件手帖7』(三上延、メディアワークス文庫)。シェイクスピアの初めて出版された作品集「ファーストフォリオ」の真贋をめぐって‥。読むべきか読まないべきか度90点。

 

●『乱反射』(貫井徳郎、朝日文庫)。事件は、1本の街路樹の根元に犬のフンを放置した飼い主の身勝手から始まった。後先を考えぬ些細なわがままがいくつか重なり、思わぬ方向に反射し、結果として人の命を奪うことになったらあなたならどうする。跳ね返り度90点。

 

●『3日で運がよくなるそうじ力』(舛田光洋、王様文庫)。窓をみがく、鏡をみがくことは自分をみがくこと。そうじをするだけで環境が変わり、自分も変わり、未来も変わる。毎日充実、運気も加速!たまにはそうじをするか度90点。

 

●『職業としての小説家』(村上春樹、新潮文庫)。小説家を職業とする村上春樹さんの小説家としてスタンス、態度表明と自慢話しにならないように書いた自慢話し。彼自身が重さや思想性を求めていないことに納得。村上春樹度・ノーベル文学賞度97点。

 

●『ドストエフスキー 謎とちから』(亀山郁夫、文春新書)。おもにロシア分離派(鞭身派、去勢派)と性の視点からドストエフスキー作品内部に隠されている真実に挑む 。『カラマーゾフの兄弟』に登場するスメルジャコフの父親はだれか、その推理に本書の意図が凝縮されているような。なぞなぞ度91点。

 

●『小説家が読むドストエフスキー』(加賀乙彦、集英社新書)。「罪と罰」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」などドストエフスキーの5作品を中心にその文学世界を探る。きっとドストエフスキーを読む気になる度98点。

 

●『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(太田匡彦、朝日文庫)。殺処分されていく命の現実を知る。改正動物愛護法で殺処分される犬たち、猫たちが少しでも減るように。無責任人間度96点。

 

●『ファーガソンの薫陶』(田邊雅之、幻冬舎)。サッカー、マンチェスターUの監督を27年間務めたファーガソンの軌跡。「運・不運まで完璧にコントロールすることはできない。だが努力すれば、幸運の女神が振り向いてくれる回数を増やしたり、不運なアクシデントの確率を減らすことはできるはずだ」。薫陶度87点。

 

●『モウリーニョ 成功の秘密』(タカ大丸訳、実業之日本社)選手、チームスタッフ、代理人など多くのコメントを通して、サッカー界のカリスマ監督、モウリーニョの実像にせまる。ゴ~~~~ル度88点。

 

●『僕はマゼランと旅した』(スチュアート・ダイベック、柴田元幸訳、白水社)。再読。高架橋の鉄道、ポンコツ車のエンジン、ショットバーのグラス、安アパートの配水管‥。シカゴを舞台にした11の連作短編。都会のいろいろな音が聞こえる。音楽度91点。

 

●『何者』(朝井リョウ、新潮文庫)。再読就活する若者群像。SNSが物語の先導役をはたした小説の嚆矢(たぶん)。今思えば一人ぐらい反権力志向の奴がいてほしかった。それは時代です、といってはいけないのだろう。何者でもない何者度90点。



●『王とサーカス』(米澤穂信著、東京創元社)。「ハゲワシと少女」という写真の話が出てくる。痩せ衰えいまにも倒れそうな少女とその背後で少女の死を待つハゲワシの写真。カメラマンはピュリッツァー賞を受賞。同時に「なぜ少女を助けなかったのか」の非難を浴び、後、彼は自殺する。ネパールで王族殺害事件に遭遇したライターの物語を通して、なぜ伝えるのかという問題を問う。問いかけ度97点。

 

●『賢治の音楽室』(林光著、吉増剛造朗読、小学館、付CD)。宮澤賢治生誕120年記念(1896年、明治29年生まれ)に。「星めぐりの歌」と「牧歌」は双子のよう。音楽好きと音楽的才能はべつ。なんでもなれ合いと惰性の「いいね」ではなにも生まれない度91点。

 

●『コミックでわかる アドラー心理学』(向後千春監修 KADOKAWA)。アドラー心理学のアウトライン理解への好書。劣等感はアドラーの発見とは知りませんでした。わかった気になれる度90点。

 

●『君の名は』(新海誠著、角川文庫)。からだが入れ替わった男の子と女の子のすれちがいと出会いを描くファンタジー。多くの人に支持されるのは、誰もが心の中にこんな物語をもっているからでしょう。男女入れ替わり度96点。

 

●『コンビニ人間』(村田紗耶香、文藝春秋)。賞受賞の著者だけが救われ、きっと実際にコンビニで働く人も、読者の自分も救われず。それが現実‥。インコンビニエンス度87点。

 

●『ポール・マッカートニー 告白』(奥田祐士訳、DU BOOKS)。「告白」だから刺さる内容を期待。読めば「ポール、ふつうに語る」。ポールの歌「Waterfalls」や「Somedays」の聴きやすさのように、読みやすいのが救い。ポールファンにおすすめ度88点。

 

●『負ける技術』(カレー澤薫、講談社文庫)。クールで潔い負け方伝授の本ではない。中身はコラムが130あまり。晴れでも、雨でもない、中途半端な曇り空がつづく一冊。勝てない技術度91点。

 

●『終わらざる夏』(浅田次郎、集英社文庫)。太平洋戦争末期、孤絶した千島列島最北端の島、占守島(シュムシュ)をめぐる終わらざる夏の光と影、戦争の不条理と矛盾を描く。千島列島の歴史度90点。

 

●『短編工場』(集英社文庫編集部編)短編12編。ネコが出てくる短編で新たに『短編工場』を編めばまた選ばれるだろう石田衣良『ふたりの名前』、熊谷達也『川崎船』、村山由佳『約束』などが印象的。電車内読書に最適度91点。

 

●『スコーレ No.4』(宮下奈都、光文社文庫)。三姉妹長女の成長物語。その時々の空気感、気持ちのありようが見えるよう(とくに前半)。『羊と鋼の森』よりこっち度90点。

 

●『新カラマーゾフの兄弟』(亀山郁夫、河出書房新社)。上下巻700ページ。父親殺しをめぐる兄弟間の使嗾と黙過、罪意識の連鎖の後に訪れる結末は‥。兄弟度91点。

 

●『武満徹・音楽創造への旅』(立花隆、文藝春秋)。充実した音楽を聴いたときのような読後感。武満徹が亡くなって今年で20年。調性の彼方度97点。

 

●『海賊とよばれた男』(百田尚樹、講談社文庫)。国際石油資本(メジャー)によらぬ日本の石油産業確立へ生涯をかけた男の一代記。石油をめぐる日本の戦前・戦後史。エネルギー度89点。

 

●『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(村上春樹、新潮文庫)。既読村上作品のなかで一番おもしろく読む。充実読書時間。終わりは始まり度96点。

 

●『羊と鋼の森』(宮下奈都、文藝春秋)。本屋大賞受賞作‥。若いピアノ調律師の物語。すんだ音、やわらかな音、とがった音、鋭い音‥。音の形容がいろいろ出てくるのに、読んでいて自分には少しも音は聴こえてこなかった。音のしない森度90点。

 

●『海辺のカフカ』(村上春樹、新潮文庫)。ネコと話す。空からイワシにアジ、ヒルが降る。なぜ。象徴性、意味性、必然性なんて超えていけ!窓辺のカラス度93点。

 

●『羊をめぐる冒険』(村上春樹、講談社文庫)。主人公の「非現実的な凡庸さがたどる運命」は、やっぱり凡庸だった。「耳」はどうなったのだろう。冒険度89点。

 

●『埴谷雄高 夢みるカント』(熊野純彦、講談社)埴谷雄高の小説『死霊』を読み解く一冊。わかったこと、自分とは自分ではないこと。いま存在することが、ありえたもの、未出現なことがらを抑圧するものであるなら、自分とは無数の抹消、抹殺の痕跡である。チンプンカント度93点。

 

●『鹿の王』(上橋菜穂子、KADOKAWA)人、獣、自然、そして対立。多層、多様共生をつなぐキーワードは均衡か。鹿の王は、種を守るために命を投げ出す勇気ある者。個にして他、しかも全体。ヒロイック度90点

 

●『流』(東山彰良、講談社)。友人を助けるために組織に殴りこみ、約束をすっ飛ばしてしまった主人公が、一晩中待っていた毛毛と会うシー ンは美しい。「文学はとき卑劣千万、ときに勇猛果敢」度92点。



●『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎、新潮文庫)。同書が本屋大賞受賞作とは不明でした(映画にもなった)。事件の背後に底知れぬ不気味な力の関与があるのはいいけど、その正体が不明なまま終わってしまうのは‥。欲求不満度90点。

 

●『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル、早川書房)。ベンサム、カント、ロールズなどの考えを参照しながら、これからの正義とはなにかを問う。前の世代の過ちに対して道徳的責任を負わないのは正義か不正義か度90点。

 

●『銀翼のイカロス』(池井戸潤、ダイヤモンド社)。「半沢直樹シリーズ」完結の書。とりわけ終章の「信用の砦」は、それにふさわしい充実した内容。満たされ度96点。

 

●『下町ロケット』(池井戸潤、小学館文庫)。中小企業対大企業。組織は内部的要因よりも外部的要因で団結する。「半沢直樹」 シリーズにくらべ語り口いまひとつ。読書推進エンジン燃焼度88点

 

●『流星ワゴン』(重松清、講談社文庫)「こんな生活、もうたくさん」と思ったとき、目の前に過去へタイムスリップできる車が止まったら‥。そんな車に乗った主人公は‥。バックトウザフュチャー度90点。

 

●『モダンタイムズ』(伊坂幸太郎、講談社文庫上下)。主人公の友人としてに井坂好太郎という名の作家が登場。彼が書いた小説が、小説のなかの小説しとして彼とともに狂言回し役を。チャップリン度90点。

 

●『ソロモンの偽証』(宮部みゆき、新潮文庫、「事件」「決意」「法廷」各上下全6冊)エンターテイメント度高得点。ただ「ソロモン」の意味わからず。物語中でそれを解いてほしかった。文庫全6巻大部ゆえの読了度93点。

 

●『さよなら妖精』(米澤穂信、創元推理文庫)。ユーゴからやってきたマーヤと偶然出会った高校生たちの物語。主人公の一人、大刀洗万智の性格は見えるよう。険のある目元、愛想なし、自分のことわかってもらおうという気持がまるで感じられないようなタイプ‥。こういう人いるいる。大刀洗さんこんにちは度95点。

 

『ニッポンの音楽』(佐々木敦、講談社現代新書)。1960年代から今日まで、日本のポピュラー音楽を通覧する一冊。音楽を取り巻く状況との関係も解説。JポップのJは、Jリーグ、JT、JRなど80年代後半バブル時に出揃ったJ。JJ度90点。

 

●『伊東静雄全集』(全1巻、人文書院)。一番知られている詩は、おそらく合唱曲にもなっている『そんなに凝視めるな』。「そんなに凝視めるな わかい友(中略) 手にふるる野花はそれを摘み 花とみづからをささへつつ歩みを運べ」。凝視める度91点

 

●『教団X』(中村文則、集英社)。宇宙、宗教、命、性のことなどを突き詰めようという意味で読みごたえのある一冊。ただ真実味を感じず。すごそうですが‥。衒学度93点。

 

●『火花』(又吉直樹、文藝春秋)。話題性から文芸誌的小説の底辺拡大と小説のサブカル化に貢献。終盤の神谷の豊胸手術は、それに抗する僕の「正義」を表明したいための付け足しのよう。タイトルの割に火花飛ばない度90点。

 

●『希求の詩人中原中也』(笠原敏雄著、麗澤大学出版会)。著者独自の心理療法の視点から詩人中原中也の新たな姿を追求。よごれちまった悲しみ度90点。

 

●『天使の事典』(ジョン・ロナー著、柏書房)。人と話をしていてふと会話が途切れたとき、それを「天使が通った」というそうです。天使は神と人間の間に位置する存在。善い天使もいれば悪い天使もいる度90点。

 

『武田泰淳と竹内好』(渡邉一民、みすず書房)。戦前発行の雑誌「中国文学」の中心的存在だった両者の中国との関わりを描く。『司馬遷』『風媒花』『富士』など武田泰淳の作品解説に関心をもって読む。中国より諸行無常度90点

 

●『M/Tと森のフシギの物語』(大江健三郎、講談社文庫)作者の故郷、愛媛県内子町の森を舞台に歴史と神話が織りなす「ユートピア伝説」を描く。森の宇宙度90点

 

●『ウィーン1899年の事件』(ラリー・ウルフ、寺門泰彦訳、晶文社)。1899年、ウィーンで起きた児童虐待事件や関連裁判から見た世紀末模様。同時代に生きた精神分析家・フロイトが、なぜこの問題に無関心だったのか、その謎解きがサブテーマ。フロイト度90点。

 

●『地方消滅の罠』(山下祐介、ちくま新書)。ベストセラー『地方消滅』(増田寛也編著、中公新書)への反論として書かれた。『地方消滅』の人口減少対策「集中と選択」 に対して「多様性の共生」を掲げるも、具体策は希薄。この20年で小学校約3千校が廃校という数字に衝撃。多様性の共生>選択と集中度88点

 

●『地方消滅』(増田寛也編著、中公新書)。「Jターン」「Iターン」「Uターン」などの地方への人口還流をどのように見ているのだろう。また「地域おこし協力隊」などの活動と『地方消滅』の人口減少対策「選択と集中」はどのように折り合うのだろう。地方不滅度90点。

 

●『モモ』(ミヒャエル・エンデ、大島かおり訳、岩波書店)。初版1976年。ファンタジーの古典的名作。人を追い立てる時間どろぼうと、人が人らしく生きる時間を取り戻してくれる不思議少女モモの物語。時間に追われ生きることの意味を忘れた人間へのメッセージ。時間とは自分自身なのです。モモ度96点。

 

●『獣の奏者』「探究編」「完結編」(上橋菜穂子、講談社文庫)。全4冊読了。王獣は核兵器、闘蛇はミサイル、航空母艦、 戦車か。人と獣の交感、共生、ありようを問う長編ファンタジー完結。長編完結度91点。

 

●『獣の奏者』「闘蛇編」「王獣編」(上橋菜穂子、講談社文庫)。状況は人を規定する。しかし、状況を撃つことができる。「罪という言葉で人を縛る」を否定する意味は。主人公たちの心を映すような情景描写が美しい。物語推進度89点。

 

●『小暮写眞館』(宮部みゆき、講談社文庫)。上下合わせて約1000ページ。最後までせっせと読んであの結末‥。帯に「感動のこの結末を。」と書かれてた。それを信じたわたしが悪いのよ度95点。

 

●『発火点』(真保裕一著、講談社文庫)。友人に殺された父の死の真相を求めて、主人公「俺」の12歳から21歳までの軌跡。 読書欲点火度92点。

 

●『心身快楽』(武田泰淳、創樹社、古本)武田泰淳(1912~1976年)の残したエッセイを自伝的に編集したもの。自伝的小説、宗教と革命の相克を描いた『快楽』に関する一文があって購入。快楽(けらく)とは、普通の快楽を捨てることによって得られる快楽のこと。心身快楽度90点。

 

●『宮沢賢治とドストエフスキー』(清水正、創樹社、古本)。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」とドストエフスキーの作品との共通性を考察する一冊。ザネリがジョバンニの分身的存在という視点には瞠目。ただ、比較することの意味が不明度93点。

 

●『ウラ読みドストエフスキー』(清水正、清流出版、2006年)。『罪と罰』の主人公、ラスコーリニコフという名は悪魔の意味はともかく、『カラマゾフの兄弟』のゾシマ長老に子供がいたという説には驚き。オモテ読みしてないとわからない度92点。

 

●『埴谷雄高は最後にこう語った』(利き手:松本健一、毎日新聞社)。永久革命者とは「人類の頭蓋のなかで石のように硬化してしまった或る思考法を、 根底から引っくりかえすような思考法を打ちだすもの」。永久妄想度96点。

 

●『スティーブン・ホーキング 天才科学者の光と影』(早川文庫)。車イスの宇宙物理学者ホーキングの真実。彼は難病(ALS)だけではなく、スロープの改善など身体障害者の必要のためにも戦った。ブラックホールは爆発する度92点。

 

●『クリムト』(C.M.ネーベハイ、野村太郎訳、美術公論社、古書)。ウィーン世紀末の代表的画家クリムトの作品と生涯。周知のベートーベン・フリーズや「医学」「法律」「哲学」より風景画(「アッター湖畔ウンテラハの教会」)に関心。新世紀始まり度90点。

 

●『大衆音楽の真実』(中村とうよう、ミュージックマガジン、1986年)。故中村とうようさんの労作。ポルトガル、スペインがアフリカ、アジア、ラテンアメリカに侵攻、植民地化して以来、音楽はどのように混血化しその地に生まれてきたか。大衆音楽(ポピュラーミュージック)の歴史が聴こえる度93点。

 

●『アンダーグラウンド』(村上春樹、講談社文庫)。地下鉄サリン事件(1995年3月20日)に取材したノンフィクション。事件からすでに20年。本書の、オウムの「物語」に対峙できる物語が、あなたに本当にありますかという問いかけは、今も生きている度98点。

 

●『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹、文藝春秋)。大震災以降、軽々にいわれた「絆」状況への一つの答えのように読む。巡礼は色彩をつくる度91点。続編期待度88点。意味ありげなクラシック音楽はもうやめて度96点。

 

●ドストエフスキー『悪霊』(亀山郁夫訳、光文社文庫、全3巻)。でまかせ、ほのめかし、唆しの悪霊男、ピョートル・ヴェルホヴェンスキーはよくわか る。ニヒリスト・スタヴローギン自殺の理由は、いまひとつ不明。平明な訳の一方、明暗、陰影に欠ける悪霊度90点。

 

●『やくざと日本人』(猪野健治著、ちくま文庫)。やくざ500年の歴史。学校では決して教えない日本史度95点。

 

●『そうだっのか!中国』(池上彰著、集英社文庫)。テレビで話を聴くように読む。1989年の天安門事件への危機感から愛国心教育へ。それが反日運動へ、の文脈に、そうだったのか!そうだったのか度93点。

 

●『集合知とは何か』(西垣通著、中公新書)。ネット時代の知、集合知がとくに注目されるのは、福島原発事故での関係者の対応など、専門知への信頼性低下が背景に。ならば集合知は信頼に足るか。集合知は万能知、魔法知にあらず。個人知の深化が基本度93点。

 

●『人はなぜ逃げおくれるのか 災害の心理学』(広瀬弘忠著、集英社新書)。主なテーマは災害と個人の関係。自分の災害観を再認識。逃げるが勝ち度94点。

 

●『永遠の0(ゼロ)』(百田尚樹著、講談社文庫)。約600ページ。その厚さを超える深い感動。0(ゼロ)の意味は「零戦」の「零」だけではなく、すべて消える、ここから始まる、いろんな意味の「零」。永遠の小説度98点。

 

●『群れずに生きる』(筧利夫著、角川書店)。俳優という仕事のいろいろを語る。語り口は楽しいが、タイトルは内容を反映していないような。タイトル「人を喜ばせる生き方」がいい度95点。

 

●『1Q84』(村上春樹著、新潮社)平家物語、失われた時をもとめて、シンフォニエッタ‥。文学、音楽のエピソードたくさん。しかしその中味は深まらず、つまみ食いのような。つぎはぎだらけのパッチワーク度96点。

 

●『宮澤賢治』(吉本隆明著、ちくま学芸文庫)。厳しく弛緩のない、共感あふれる宮澤賢治論。「父の不在」「視点の移動」から「銀河鉄道の夜」を論じた一文に目の覚める思い。銀河鉄道の朝度92点。

 

●『吉本隆明初期詩集』(講談社)。「わたしは視た」と始まる「無心の歌」は、ランボー「酔いどれ船」の「ぼくは見た」の影響?これをモチーフに、ギンズバーグが「吠える」を書き、ディランが歌をつくった。日本では「家政婦は見た」から「家政婦の三田」に。ぼくも見た度94点。

 

●『宇宙になぜ我々が存在するのか』(村山斉著、講談社ブルーバックス)。物質には必ず反物質があって、両者が出会うと消滅する。では、宇宙にたくさんの物質が存在しているのはなぜ。そのバランスを崩したのがニュートリノ。ニュートリノのおかげで宇宙には物質があり、人もいる。ニュートリノは左巻き。私の頭も左巻き度96点。

 

●『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』(早野透著、中公新書)。番記者が語る政治家・田中角栄の真実。同窓会といえば小学校の一つしかもてなかった田中が首相になったとき、人々は拍手喝采を送った。その後の暗転に、なにが問われたのか。「悲しき自画像」とは、ひとり田中だけの意味か度92点。

 

●『白痴』(ドストエフスキー、木村浩訳、新潮文庫上下)。その純粋さ故に自分が理解できない者を、人は「白痴」と呼び、自分を隠蔽、合理化しようとする。ほんとうの白痴はだれだ度92点。

 

●『第九 ベートーヴェン最大の交響曲の神話』」(中川右介著、幻冬舎新書)ベートーヴェンの9番目の交響曲が、どのような歴史を経て今日の「第九」になったか。「第九」の歴史本。歴史には年表がつきもの。「第九年表」があればもっとよかった度96点。

 

●『日本の国境問題』(孫崎享著、ちくま新書)尖閣諸島、竹島、北方領土は、日本の領土にあらず。日本「固有」の領土という、「固有」とはなか。国家・メディア一体の領土プロパガンダに抗す。日本は戦後ドイツの姿勢を見習うべき度99点。

 

●『日本は世界一の環境エネルギー大国』(平沼光、講談社新書)日本には再生可能エネルギーとして利用できる豊かな資源とそれらを開発する技術力を保有。だから日本は環境エネルギー大国。未来が少し明るく見える度88点。

 

●『小説の終焉』(西川政明、岩波新書)日本の小説史概観に格好の一冊。書名「小説の終焉」は、過去を凌駕する作品の誕生を願う著者メッセージと思うことに。始まりは終わり、終わりは始まり度96点

 

●『反ポピュリズム論』(渡邉恒雄、新潮新書)ポピュリズム(大衆迎合主義)がもたらした今日の政治的状況の克服=日本のギリシャ化回避。そのための処方箋は、消費税20%、無税国債導入でタンス預金など家庭埋蔵金活用、安全性向上を前提に原発再稼動など。これらに反対はポピュリズム度98点。

 

●『八日目の蝉』(角田光代、中公文庫)蝉は七日で死んでしまうけれど、人は八日目、九日目、十日目と‥。「八日目の蝉」は、生き残ったこと、生かされていることのたとえ。人はいつまで生きるかわからない「八日目の蝉」度88点

 

●『親鸞』(五木寛之、講談社文庫上下)人はみな悪人度94点

 

●『納豆の快楽』(小泉武夫、講談社文庫)読後も糸を引く度90点

 

●『ベテルギウスの超新星爆発』(野本陽代、幻冬舎新書)オリオン座の右肩にある赤色巨星ベテルギウス、その超新星暴発の可能性をさぐる。超新星爆発度88点

 

●『チャイコフスキーがなぜか好き』(亀山郁夫、PHP新書)チャイコフスキーのことがたくさん書かれているようなタイトルで、ほとんど書かれていない。だから、なぜか好き度98点

 

●『ドストエフスキー「悪霊」の衝撃』(亀山郁夫、光文社新書)もう一度読みたくなる悪霊度90点

 

●『年譜 宮澤賢治伝』(堀尾青史、中公文庫)1896年(明治の三陸大地震の年)に生まれ、1933年(昭和の三陸大地震の年)に亡くなった宮澤賢治の生涯。地獄、餓鬼、畜生、阿修羅度85点

 

●『瓦礫の中から言葉を』(辺見庸、NHK出版新書)東日本大震災に言葉はなにができたかを問う。沈黙度92点

 

●『逃亡』(帚木蓬生、新潮文庫上下)食べながら読み、歩きながら読み、夢のなかでも読み、主人公と一緒に逃げるように読み、3日で上下読了。追いかけ度96点

●『坊ちゃん』(夏目漱石、青空文庫)。電書(青空文庫)で読む。旧制中学に赴任した、形式的偽善を嫌う江戸っ子24歳の数学教師・坊ちゃんの青春記。明治事大のスクールもの。文章は軽快、明快。漱石入門に最適。青春小説度91点。

 

●『幻夜』(東野圭吾、集英社文庫)。約800ページ。最後まで読ませるのだから文句は不要?それでも贅言が許されるなら、なぜその女は新海美冬という別人になる必要があったのか、いまひとつ不明。もう一人の主人公・雅也が通っていた下町の定食屋『おかだ』のような店が近くにあるといいのですが。肉野菜炒め定食大盛り度88度。

 

●『キリン』(山田悠介、角川文庫)精子バンクから天才の精子を買い子どもを産んだ母親とその二人の子どもの物語。兄の名は秀才、弟の名は麒麟。秀才は数学の天才、麒麟はやさしい心の持ち主だった。二人の将来になにが待っているのか。頭の良し悪しで子を差別する母親の意地悪なこと。一気読み度94点。

 

●『いたいのいたいの、とんでゆけ』(三秋縋、メディアワークス文庫)。著者作品は『恋する寄生虫』に続き二作目。ある夜、僕は飲酒運転で一人の少女をはねる。その少女には「あったことをないことにできる」不思議な力が。終盤はつじつま合わせのよう‥。『寄生虫』が勝ち度91点。

 

●『カラフル』(森絵都、文春文庫)帯に「高校生が選んだ読みたい文庫No.1」、さらに「大人も泣ける青春小説。累計100万部突破の名作」と。人にはいろんな色がある。だからカラフル。主人公が見た色は真っ暗闇。泣かない度91点。

 

●『あなたに不利な証拠としてな』(ローリー・ドラモンド、駒月雅子訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)。人を殺した経験をもつ警官、事故で障害を背負った警官など、5人の女性警察官を主人公にした連作。07年の「このミステリーがすごい!」作品だが、非ミステリー。著者は元警察官。つかまる度97点。

 

●『虐殺器官』(伊藤計劃、ハヤカワ文庫)。世評高く傑作とされる国際軍事謀略サスペンス。テロ、格差、貧困、環境、グローバリズムなど様々な要素を盛り込む。カフカ談義も登場。カフカは安全ヘルメットの考案者。主人公は国家的殺人=暗殺を遂行する米国情報軍特殊検索群大尉。物語に弾丸飛び交う。ヘルメット度98点。

 

●『僕らの社会主義』(國分功一郎・山崎亮、ちくま新書)。マルクス・レーニンの社会主義、キリスト教的、審美的社会主義など、いろいろな社会主義が。いろいろな社会主義のいいところを主義から離れて、取り入れて行こうという一冊。キーワードは参加。新名募集度91点。

 

●『マッキンゼーが予測する未来 近未来のビジネスは、4つの力に支配されている』(リチャード・ドッブスト他、吉良直人訳、ダイヤモンド社)。著者は、世界有数のコンサルティングファームとされるマッキンゼーの経営および世界経済の研究部門、MGS(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)の研究メンバー。4つの力とは、経済の重心の移動、テクノロジーインパクト、地球規模の老化、グローバリゼーション。未来楽観度88点。

 

●『花咲舞が黙ってない』(池井戸潤、中公文庫)。TVドラマにもなった東京第一銀行の跳ねっ返り娘・花咲舞が、行内トップに巣食う不正に迫る。あの半澤直樹が物語終盤で活躍。跳ねっ返り度93点。

 

●『吾輩は猫である』(夏目漱石、青空文庫)。初読は本、旧字旧仮名。以来30余年。再読は電書、新字新仮名。四文字熟語の宝庫。冥頑不霊(めいがんふれい)、灼然炳乎(しゃくぜんへいこ)、琳琅璆鏘(りんろうきゅうそう)、悖徳没倫(はいとくぼつりん)。わからない。猫度86点。

 

●『十角館の殺人(新装改訂版)』(綾辻行人、講談社文庫)。寝食を忘れて没読、耽読。闇の海に投げ入れたガラス壜は、だれの元に届いたか。新本格ミステリーの嚆矢。おすすめ耽読度97点。



●『ライ麦畑でつかまえて』(J.D.サリンジャー、野崎孝訳、白水Uブックス)。意気地なし、弱虫の主人公・僕(ホールデン・コールフィールド)、宙吊りになった自我の着地点をさがして‥。1951年の作品。主人公はいまも生きている。つかまらない度91点。

 

●『我が心は石にあらず』(高橋和巳著、新潮社、古書)戦後日本の労働組合運動をテーマにした小説。主人公は組合委員長として運動を推進する一方、隠された関係が‥。不倫は等価交換。固定化された条件下で成立する。条件が変われば関係は流動化する。懲りない男と女の労働運動度89点。

 

●『熱狂の王 ドナルド・トランプ」(マイケル・ダントニオ著、高取芳彦・吉川南訳、発売インプレス)。Twitter、Facebook、インスタ、LINE、自撮り、自己宣伝‥、CGMを通して自我拡大できる現代。「トランプは現代を生きるわれわれの誇張された姿に過ぎない」。それに同意・不同意は自由。結局わからない度98点。

 

●『生きる日  死ぬ日』(水上勉、福武書店)小さな村に生きる人々、家族の風景が15景。失われた日本の原風景がここにあるような。こういう作品を書く作家、きっと今はもういない。棺桶づくり仙六の殯の場面は胸を打つ。失われた風景度96点。

 

●『追憶の作家たち』(宮田毬栄著、文春新書)。追憶の作家たちは、松本清張、西條八十、埴谷雄高、島尾敏雄、大岡昇平、石川淳、日野啓三の7人。著者は元文芸雑誌「海」編集長。追憶度92点。

 

●『難解人間VS躁鬱人間  埴谷雄高VS北杜夫』(中央公論社、古書)宇宙、黒沢映画、ファウスト、巨人・阪神戦、米と梅干‥、対談時間11時間、話題は天から地へ、ミクロからマクロへ、勝手気儘、縦横無尽、支離滅裂、無法に散らばる。マラソン対談度97点。

 

●『深沢紅子 随筆集 追憶の詩人たち』(教育出版センター、古書)。著者は盛岡生まれの洋画家、装丁家。立原道造、堀辰雄、野村英夫らの思い出をつづる文章は、さまざまな花が咲き、木々は色づきスケッチ画のよう。絵画度95点。

 

●『幕末バトル・ロワイヤル 井伊直弼の首』(野口武彦著、新潮新書)安政の大獄のころ、大地震、大水、コレラ(安藤広重はコレラで死す)、ドナチ彗星‥と天は裂け、大地は揺れ、状況混沌。「政治史と災害史とは、同じ布地に織り込まれて進行する」。幕末織物度93点。

 

●『中原中也「山羊の歌」全釈』(太田静一著、鳥影社、古書)中原中也の詩解釈に一石を投じる一冊。著名詩「汚れつちまつた悲しみに」は、中也自身のことではなく、恋人だった長谷川泰子を揶揄する詩という。「汚れつちまつた」おどろき度91点。

 

●『邪宗門』(高橋和巳、河出文庫上下)。上下各600ページ。昭和という時代と正対した戦後文学の高い峰の一つ。第二部第二章冒頭、戦中の大阪貧民窟の描写は美しい。超おすすめ度99点。

 

●『詩人 高見順 その生と死』(上林猷夫著、講談社、1991年、古書)。詩人による詩人・小説家・高見順(1965年没)の評伝。「蹴らないでくれ 眠らせてほしい もうここで ただひたすら 眠らせてくれ」(高見順『死の淵より』から「小石」)。小石は蹴りたい度91点。 

 

●『読書の腕前』(岡崎武志著、光文社知恵の森文庫)。書評家、ライターの岡崎武志さんの読書履歴、読書遍歴。最終章『蔵書のからの「蔵出し」おすすめ本』は読書自在。負けずに読みたくなる度93点。

 

●『富永太郎 書簡を通して見た生涯と作品』(大岡昇平、中央公論、古書)。富永太郎は大正14年、24歳で夭折の詩人・画家。中原中也にボードレーヌ、ランボーらの存在を教えた。「よく星のすべる晩だ。一服吸う間に二十四も星がすべった」(大正10年8月12日付書簡から)。この流星はペルセウス座流星群。約100年前、東京の夜空には降るように流星が‥。星に願い度96点。

 

●『日本はこの先どうなるのか』(高橋洋一著、幻冬舎)。マイナス金利、イギリスEU離脱、アベノミクスの評価など日本の現在を解説する第一部と集団的自衛権を中心に日本が戦争に巻き込まれない戦略を語る第二部からなる。「願うだけで平和が実現できるなら、世界はとっくに平和になっている」。ごもっとも度91点。

 

●『古本道入門』(岡崎武志著、中公文庫)。古紙と印刷インキがまざったような古書店のにおいがする一冊。古本・古本屋さんについて多くの発見が‥。古くて新しい度96点。

 

●『ブレイブ・ストーリー』(宮部みゆき、角川文庫上中下)。ベストセラーになったファンタジー冒険小説。幻界の国のひとつ、薬になるという涙の水をつくる「ティアズヘブン」のエピソードが印象的。一気読み度97点。

 

●『恋の寄生虫』(三秋縋、メディアワークス文庫)。恋は寄生虫のせいなのか、それとも‥。物語に出てくる寄生虫「ナナホシクドア」は名前のとおり星のよう。人を終宿主とする寄生虫は、泣き虫、弱虫、えへん虫‥。どこかのノーベル賞候補の小説よりずっとおもしろい度95点。

 

●『フルトヴェングラー』(吉田秀和、河出文庫)。フルトヴェングラーの演奏はほとんど聴いたことがない。著者の文章もほとんど読んだことがない。そして思う。音楽は音の連なりであって、そこに思想性はない。音楽が聞こえない度98点。

 

●『安井かずみがいた時代』(島崎今日子、集英社文庫)証言でたどる作詞家・安井かずみの真実。日本の青春、1960年代・70年代のポップシーン通覧にも格好の書。時代度94点。

 

●『ブビリア古書堂の事件手帖7』(三上延、メディアワークス文庫)。シェイクスピアの初めて出版された作品集「ファーストフォリオ」の真贋をめぐって‥。読むべきか読まないべきか度90点。

 

●『乱反射』(貫井徳郎、朝日文庫)。事件は、1本の街路樹の根元に犬のフンを放置した飼い主の身勝手から始まった。後先を考えぬ些細なわがままがいくつか重なり、思わぬ方向に反射し、結果として人の命を奪うことになったらあなたならどうする。跳ね返り度90点。

 

●『3日で運がよくなるそうじ力』(舛田光洋、王様文庫)。窓をみがく、鏡をみがくことは自分をみがくこと。そうじをするだけで環境が変わり、自分も変わり、未来も変わる。毎日充実、運気も加速!たまにはそうじをするか度90点。

 

●『職業としての小説家』(村上春樹、新潮文庫)。小説家を職業とする村上春樹さんの小説家としてスタンス、態度表明と自慢話しにならないように書いた自慢話し。彼自身が重さや思想性を求めていないことに納得。村上春樹度・ノーベル文学賞度97点。

 

●『ドストエフスキー 謎とちから』(亀山郁夫、文春新書)。おもにロシア分離派(鞭身派、去勢派)と性の視点からドストエフスキー作品内部に隠されている真実に挑む 。『カラマーゾフの兄弟』に登場するスメルジャコフの父親はだれか、その推理に本書の意図が凝縮されているような。なぞなぞ度91点。

 

●『小説家が読むドストエフスキー』(加賀乙彦、集英社新書)。「罪と罰」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」などドストエフスキーの5作品を中心にその文学世界を探る。きっとドストエフスキーを読む気になる度98点。

 

●『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(太田匡彦、朝日文庫)。殺処分されていく命の現実を知る。改正動物愛護法で殺処分される犬たち、猫たちが少しでも減るように。無責任人間度96点。

 

●『ファーガソンの薫陶』(田邊雅之、幻冬舎)。サッカー、マンチェスターUの監督を27年間務めたファーガソンの軌跡。「運・不運まで完璧にコントロールすることはできない。だが努力すれば、幸運の女神が振り向いてくれる回数を増やしたり、不運なアクシデントの確率を減らすことはできるはずだ」。薫陶度87点。

 

●『モウリーニョ 成功の秘密』(タカ大丸訳、実業之日本社)選手、チームスタッフ、代理人など多くのコメントを通して、サッカー界のカリスマ監督、モウリーニョの実像にせまる。ゴ~~~~ル度88点。

 

●『僕はマゼランと旅した』(スチュアート・ダイベック、柴田元幸訳、白水社)。再読。高架橋の鉄道、ポンコツ車のエンジン、ショットバーのグラス、安アパートの配水管‥。シカゴを舞台にした11の連作短編。都会のいろいろな音が聞こえる。音楽度91点。

 

●『何者』(朝井リョウ、新潮文庫)。再読就活する若者群像。SNSが物語の先導役をはたした小説の嚆矢(たぶん)。今思えば一人ぐらい反権力志向の奴がいてほしかった。それは時代です、といってはいけないのだろう。何者でもない何者度90点。



●『王とサーカス』(米澤穂信著、東京創元社)。「ハゲワシと少女」という写真の話が出てくる。痩せ衰えいまにも倒れそうな少女とその背後で少女の死を待つハゲワシの写真。カメラマンはピュリッツァー賞を受賞。同時に「なぜ少女を助けなかったのか」の非難を浴び、後、彼は自殺する。ネパールで王族殺害事件に遭遇したライターの物語を通して、なぜ伝えるのかという問題を問う。問いかけ度97点。

 

●『賢治の音楽室』(林光著、吉増剛造朗読、小学館、付CD)。宮澤賢治生誕120年記念(1896年、明治29年生まれ)に。「星めぐりの歌」と「牧歌」は双子のよう。音楽好きと音楽的才能はべつ。なんでもなれ合いと惰性の「いいね」ではなにも生まれない度91点。

 

●『コミックでわかる アドラー心理学』(向後千春監修 KADOKAWA)。アドラー心理学のアウトライン理解への好書。劣等感はアドラーの発見とは知りませんでした。わかった気になれる度90点。

 

●『君の名は』(新海誠著、角川文庫)。からだが入れ替わった男の子と女の子のすれちがいと出会いを描くファンタジー。多くの人に支持されるのは、誰もが心の中にこんな物語をもっているからでしょう。男女入れ替わり度96点。

 

●『コンビニ人間』(村田紗耶香、文藝春秋)。賞受賞の著者だけが救われ、きっと実際にコンビニで働く人も、読者の自分も救われず。それが現実‥。インコンビニエンス度87点。

 

●『ポール・マッカートニー 告白』(奥田祐士訳、DU BOOKS)。「告白」だから刺さる内容を期待。読めば「ポール、ふつうに語る」。ポールの歌「Waterfalls」や「Somedays」の聴きやすさのように、読みやすいのが救い。ポールファンにおすすめ度88点。

 

●『負ける技術』(カレー澤薫、講談社文庫)。クールで潔い負け方伝授の本ではない。中身はコラムが130あまり。晴れでも、雨でもない、中途半端な曇り空がつづく一冊。勝てない技術度91点。

 

●『終わらざる夏』(浅田次郎、集英社文庫)。太平洋戦争末期、孤絶した千島列島最北端の島、占守島(シュムシュ)をめぐる終わらざる夏の光と影、戦争の不条理と矛盾を描く。千島列島の歴史度90点。

 

●『短編工場』(集英社文庫編集部編)短編12編。ネコが出てくる短編で新たに『短編工場』を編めばまた選ばれるだろう石田衣良『ふたりの名前』、熊谷達也『川崎船』、村山由佳『約束』などが印象的。電車内読書に最適度91点。

 

●『スコーレ No.4』(宮下奈都、光文社文庫)。三姉妹長女の成長物語。その時々の空気感、気持ちのありようが見えるよう(とくに前半)。『羊と鋼の森』よりこっち度90点。

 

●『新カラマーゾフの兄弟』(亀山郁夫、河出書房新社)。上下巻700ページ。父親殺しをめぐる兄弟間の使嗾と黙過、罪意識の連鎖の後に訪れる結末は‥。兄弟度91点。

 

●『武満徹・音楽創造への旅』(立花隆、文藝春秋)。充実した音楽を聴いたときのような読後感。武満徹が亡くなって今年で20年。調性の彼方度97点。

 

●『海賊とよばれた男』(百田尚樹、講談社文庫)。国際石油資本(メジャー)によらぬ日本の石油産業確立へ生涯をかけた男の一代記。石油をめぐる日本の戦前・戦後史。エネルギー度89点。

 

●『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(村上春樹、新潮文庫)。既読村上作品のなかで一番おもしろく読む。充実読書時間。終わりは始まり度96点。

 

●『羊と鋼の森』(宮下奈都、文藝春秋)。本屋大賞受賞作‥。若いピアノ調律師の物語。すんだ音、やわらかな音、とがった音、鋭い音‥。音の形容がいろいろ出てくるのに、読んでいて自分には少しも音は聴こえてこなかった。音のしない森度90点。

 

●『海辺のカフカ』(村上春樹、新潮文庫)。ネコと話す。空からイワシにアジ、ヒルが降る。なぜ。象徴性、意味性、必然性なんて超えていけ!窓辺のカラス度93点。

 

●『羊をめぐる冒険』(村上春樹、講談社文庫)。主人公の「非現実的な凡庸さがたどる運命」は、やっぱり凡庸だった。「耳」はどうなったのだろう。冒険度89点。

 

●『埴谷雄高 夢みるカント』(熊野純彦、講談社)埴谷雄高の小説『死霊』を読み解く一冊。わかったこと、自分とは自分ではないこと。いま存在することが、ありえたもの、未出現なことがらを抑圧するものであるなら、自分とは無数の抹消、抹殺の痕跡である。チンプンカント度93点。

 

●『鹿の王』(上橋菜穂子、KADOKAWA)人、獣、自然、そして対立。多層、多様共生をつなぐキーワードは均衡か。鹿の王は、種を守るために命を投げ出す勇気ある者。個にして他、しかも全体。ヒロイック度90点

 

●『流』(東山彰良、講談社)。友人を助けるために組織に殴りこみ、約束をすっ飛ばしてしまった主人公が、一晩中待っていた毛毛と会うシー ンは美しい。「文学はとき卑劣千万、ときに勇猛果敢」度92点。



●『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎、新潮文庫)。同書が本屋大賞受賞作とは不明でした(映画にもなった)。事件の背後に底知れぬ不気味な力の関与があるのはいいけど、その正体が不明なまま終わってしまうのは‥。欲求不満度90点。

 

●『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル、早川書房)。ベンサム、カント、ロールズなどの考えを参照しながら、これからの正義とはなにかを問う。前の世代の過ちに対して道徳的責任を負わないのは正義か不正義か度90点。

 

●『銀翼のイカロス』(池井戸潤、ダイヤモンド社)。「半沢直樹シリーズ」完結の書。とりわけ終章の「信用の砦」は、それにふさわしい充実した内容。満たされ度96点。

 

●『下町ロケット』(池井戸潤、小学館文庫)。中小企業対大企業。組織は内部的要因よりも外部的要因で団結する。「半沢直樹」 シリーズにくらべ語り口いまひとつ。読書推進エンジン燃焼度88点

 

●『流星ワゴン』(重松清、講談社文庫)「こんな生活、もうたくさん」と思ったとき、目の前に過去へタイムスリップできる車が止まったら‥。そんな車に乗った主人公は‥。バックトウザフュチャー度90点。

 

●『モダンタイムズ』(伊坂幸太郎、講談社文庫上下)。主人公の友人としてに井坂好太郎という名の作家が登場。彼が書いた小説が、小説のなかの小説しとして彼とともに狂言回し役を。チャップリン度90点。

 

●『ソロモンの偽証』(宮部みゆき、新潮文庫、「事件」「決意」「法廷」各上下全6冊)エンターテイメント度高得点。ただ「ソロモン」の意味わからず。物語中でそれを解いてほしかった。文庫全6巻大部ゆえの読了度93点。

 

●『さよなら妖精』(米澤穂信、創元推理文庫)。ユーゴからやってきたマーヤと偶然出会った高校生たちの物語。主人公の一人、大刀洗万智の性格は見えるよう。険のある目元、愛想なし、自分のことわかってもらおうという気持がまるで感じられないようなタイプ‥。こういう人いるいる。大刀洗さんこんにちは度95点。

 

『ニッポンの音楽』(佐々木敦、講談社現代新書)。1960年代から今日まで、日本のポピュラー音楽を通覧する一冊。音楽を取り巻く状況との関係も解説。JポップのJは、Jリーグ、JT、JRなど80年代後半バブル時に出揃ったJ。JJ度90点。

 

●『伊東静雄全集』(全1巻、人文書院)。一番知られている詩は、おそらく合唱曲にもなっている『そんなに凝視めるな』。「そんなに凝視めるな わかい友(中略) 手にふるる野花はそれを摘み 花とみづからをささへつつ歩みを運べ」。凝視める度91点

 

●『教団X』(中村文則、集英社)。宇宙、宗教、命、性のことなどを突き詰めようという意味で読みごたえのある一冊。ただ真実味を感じず。すごそうですが‥。衒学度93点。

 

●『火花』(又吉直樹、文藝春秋)。話題性から文芸誌的小説の底辺拡大と小説のサブカル化に貢献。終盤の神谷の豊胸手術は、それに抗する僕の「正義」を表明したいための付け足しのよう。タイトルの割に火花飛ばない度90点。

 

●『希求の詩人中原中也』(笠原敏雄著、麗澤大学出版会)。著者独自の心理療法の視点から詩人中原中也の新たな姿を追求。よごれちまった悲しみ度90点。

 

●『天使の事典』(ジョン・ロナー著、柏書房)。人と話をしていてふと会話が途切れたとき、それを「天使が通った」というそうです。天使は神と人間の間に位置する存在。善い天使もいれば悪い天使もいる度90点。

 

『武田泰淳と竹内好』(渡邉一民、みすず書房)。戦前発行の雑誌「中国文学」の中心的存在だった両者の中国との関わりを描く。『司馬遷』『風媒花』『富士』など武田泰淳の作品解説に関心をもって読む。中国より諸行無常度90点

 

●『M/Tと森のフシギの物語』(大江健三郎、講談社文庫)作者の故郷、愛媛県内子町の森を舞台に歴史と神話が織りなす「ユートピア伝説」を描く。森の宇宙度90点

 

●『ウィーン1899年の事件』(ラリー・ウルフ、寺門泰彦訳、晶文社)。1899年、ウィーンで起きた児童虐待事件や関連裁判から見た世紀末模様。同時代に生きた精神分析家・フロイトが、なぜこの問題に無関心だったのか、その謎解きがサブテーマ。フロイト度90点。

 

●『地方消滅の罠』(山下祐介、ちくま新書)。ベストセラー『地方消滅』(増田寛也編著、中公新書)への反論として書かれた。『地方消滅』の人口減少対策「集中と選択」 に対して「多様性の共生」を掲げるも、具体策は希薄。この20年で小学校約3千校が廃校という数字に衝撃。多様性の共生>選択と集中度88点

 

●『地方消滅』(増田寛也編著、中公新書)。「Jターン」「Iターン」「Uターン」などの地方への人口還流をどのように見ているのだろう。また「地域おこし協力隊」などの活動と『地方消滅』の人口減少対策「選択と集中」はどのように折り合うのだろう。地方不滅度90点。

 

●『モモ』(ミヒャエル・エンデ、大島かおり訳、岩波書店)。初版1976年。ファンタジーの古典的名作。人を追い立てる時間どろぼうと、人が人らしく生きる時間を取り戻してくれる不思議少女モモの物語。時間に追われ生きることの意味を忘れた人間へのメッセージ。時間とは自分自身なのです。モモ度96点。

 

●『獣の奏者』「探究編」「完結編」(上橋菜穂子、講談社文庫)。全4冊読了。王獣は核兵器、闘蛇はミサイル、航空母艦、 戦車か。人と獣の交感、共生、ありようを問う長編ファンタジー完結。長編完結度91点。

 

●『獣の奏者』「闘蛇編」「王獣編」(上橋菜穂子、講談社文庫)。状況は人を規定する。しかし、状況を撃つことができる。「罪という言葉で人を縛る」を否定する意味は。主人公たちの心を映すような情景描写が美しい。物語推進度89点。

 

●『小暮写眞館』(宮部みゆき、講談社文庫)。上下合わせて約1000ページ。最後までせっせと読んであの結末‥。帯に「感動のこの結末を。」と書かれてた。それを信じたわたしが悪いのよ度95点。

 

●『発火点』(真保裕一著、講談社文庫)。友人に殺された父の死の真相を求めて、主人公「俺」の12歳から21歳までの軌跡。 読書欲点火度92点。

 

●『心身快楽』(武田泰淳、創樹社、古本)武田泰淳(1912~1976年)の残したエッセイを自伝的に編集したもの。自伝的小説、宗教と革命の相克を描いた『快楽』に関する一文があって購入。快楽(けらく)とは、普通の快楽を捨てることによって得られる快楽のこと。心身快楽度90点。

 

●『宮沢賢治とドストエフスキー』(清水正、創樹社、古本)。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」とドストエフスキーの作品との共通性を考察する一冊。ザネリがジョバンニの分身的存在という視点には瞠目。ただ、比較することの意味が不明度93点。

 

●『ウラ読みドストエフスキー』(清水正、清流出版、2006年)。『罪と罰』の主人公、ラスコーリニコフという名は悪魔の意味はともかく、『カラマゾフの兄弟』のゾシマ長老に子供がいたという説には驚き。オモテ読みしてないとわからない度92点。

 

●『埴谷雄高は最後にこう語った』(利き手:松本健一、毎日新聞社)。永久革命者とは「人類の頭蓋のなかで石のように硬化してしまった或る思考法を、 根底から引っくりかえすような思考法を打ちだすもの」。永久妄想度96点。

 

●『スティーブン・ホーキング 天才科学者の光と影』(早川文庫)。車イスの宇宙物理学者ホーキングの真実。彼は難病(ALS)だけではなく、スロープの改善など身体障害者の必要のためにも戦った。ブラックホールは爆発する度92点。

 

●『クリムト』(C.M.ネーベハイ、野村太郎訳、美術公論社、古書)。ウィーン世紀末の代表的画家クリムトの作品と生涯。周知のベートーベン・フリーズや「医学」「法律」「哲学」より風景画(「アッター湖畔ウンテラハの教会」)に関心。新世紀始まり度90点。

 

●『大衆音楽の真実』(中村とうよう、ミュージックマガジン、1986年)。故中村とうようさんの労作。ポルトガル、スペインがアフリカ、アジア、ラテンアメリカに侵攻、植民地化して以来、音楽はどのように混血化しその地に生まれてきたか。大衆音楽(ポピュラーミュージック)の歴史が聴こえる度93点。

 

●『アンダーグラウンド』(村上春樹、講談社文庫)。地下鉄サリン事件(1995年3月20日)に取材したノンフィクション。事件からすでに20年。本書の、オウムの「物語」に対峙できる物語が、あなたに本当にありますかという問いかけは、今も生きている度98点。

 

●『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹、文藝春秋)。大震災以降、軽々にいわれた「絆」状況への一つの答えのように読む。巡礼は色彩をつくる度91点。続編期待度88点。意味ありげなクラシック音楽はもうやめて度96点。

 

●ドストエフスキー『悪霊』(亀山郁夫訳、光文社文庫、全3巻)。でまかせ、ほのめかし、唆しの悪霊男、ピョートル・ヴェルホヴェンスキーはよくわか る。ニヒリスト・スタヴローギン自殺の理由は、いまひとつ不明。平明な訳の一方、明暗、陰影に欠ける悪霊度90点。

 

●『やくざと日本人』(猪野健治著、ちくま文庫)。やくざ500年の歴史。学校では決して教えない日本史度95点。

 

●『そうだっのか!中国』(池上彰著、集英社文庫)。テレビで話を聴くように読む。1989年の天安門事件への危機感から愛国心教育へ。それが反日運動へ、の文脈に、そうだったのか!そうだったのか度93点。

 

●『集合知とは何か』(西垣通著、中公新書)。ネット時代の知、集合知がとくに注目されるのは、福島原発事故での関係者の対応など、専門知への信頼性低下が背景に。ならば集合知は信頼に足るか。集合知は万能知、魔法知にあらず。個人知の深化が基本度93点。

 

●『人はなぜ逃げおくれるのか 災害の心理学』(広瀬弘忠著、集英社新書)。主なテーマは災害と個人の関係。自分の災害観を再認識。逃げるが勝ち度94点。

 

●『永遠の0(ゼロ)』(百田尚樹著、講談社文庫)。約600ページ。その厚さを超える深い感動。0(ゼロ)の意味は「零戦」の「零」だけではなく、すべて消える、ここから始まる、いろんな意味の「零」。永遠の小説度98点。

 

●『群れずに生きる』(筧利夫著、角川書店)。俳優という仕事のいろいろを語る。語り口は楽しいが、タイトルは内容を反映していないような。タイトル「人を喜ばせる生き方」がいい度95点。

 

●『1Q84』(村上春樹著、新潮社)平家物語、失われた時をもとめて、シンフォニエッタ‥。文学、音楽のエピソードたくさん。しかしその中味は深まらず、つまみ食いのような。つぎはぎだらけのパッチワーク度96点。

 

●『宮澤賢治』(吉本隆明著、ちくま学芸文庫)。厳しく弛緩のない、共感あふれる宮澤賢治論。「父の不在」「視点の移動」から「銀河鉄道の夜」を論じた一文に目の覚める思い。銀河鉄道の朝度92点。

 

●『吉本隆明初期詩集』(講談社)。「わたしは視た」と始まる「無心の歌」は、ランボー「酔いどれ船」の「ぼくは見た」の影響?これをモチーフに、ギンズバーグが「吠える」を書き、ディランが歌をつくった。日本では「家政婦は見た」から「家政婦の三田」に。ぼくも見た度94点。

 

●『宇宙になぜ我々が存在するのか』(村山斉著、講談社ブルーバックス)。物質には必ず反物質があって、両者が出会うと消滅する。では、宇宙にたくさんの物質が存在しているのはなぜ。そのバランスを崩したのがニュートリノ。ニュートリノのおかげで宇宙には物質があり、人もいる。ニュートリノは左巻き。私の頭も左巻き度96点。

 

●『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』(早野透著、中公新書)。番記者が語る政治家・田中角栄の真実。同窓会といえば小学校の一つしかもてなかった田中が首相になったとき、人々は拍手喝采を送った。その後の暗転に、なにが問われたのか。「悲しき自画像」とは、ひとり田中だけの意味か度92点。

 

●『白痴』(ドストエフスキー、木村浩訳、新潮文庫上下)。その純粋さ故に自分が理解できない者を、人は「白痴」と呼び、自分を隠蔽、合理化しようとする。ほんとうの白痴はだれだ度92点。

 

●『第九 ベートーヴェン最大の交響曲の神話』」(中川右介著、幻冬舎新書)ベートーヴェンの9番目の交響曲が、どのような歴史を経て今日の「第九」になったか。「第九」の歴史本。歴史には年表がつきもの。「第九年表」があればもっとよかった度96点。

 

●『日本の国境問題』(孫崎享著、ちくま新書)尖閣諸島、竹島、北方領土は、日本の領土にあらず。日本「固有」の領土という、「固有」とはなか。国家・メディア一体の領土プロパガンダに抗す。日本は戦後ドイツの姿勢を見習うべき度99点。

 

●『日本は世界一の環境エネルギー大国』(平沼光、講談社新書)日本には再生可能エネルギーとして利用できる豊かな資源とそれらを開発する技術力を保有。だから日本は環境エネルギー大国。未来が少し明るく見える度88点。

 

●『小説の終焉』(西川政明、岩波新書)日本の小説史概観に格好の一冊。書名「小説の終焉」は、過去を凌駕する作品の誕生を願う著者メッセージと思うことに。始まりは終わり、終わりは始まり度96点

 

●『反ポピュリズム論』(渡邉恒雄、新潮新書)ポピュリズム(大衆迎合主義)がもたらした今日の政治的状況の克服=日本のギリシャ化回避。そのための処方箋は、消費税20%、無税国債導入でタンス預金など家庭埋蔵金活用、安全性向上を前提に原発再稼動など。これらに反対はポピュリズム度98点。

 

●『八日目の蝉』(角田光代、中公文庫)蝉は七日で死んでしまうけれど、人は八日目、九日目、十日目と‥。「八日目の蝉」は、生き残ったこと、生かされていることのたとえ。人はいつまで生きるかわからない「八日目の蝉」度88点

 

●『親鸞』(五木寛之、講談社文庫上下)人はみな悪人度94点

 

●『納豆の快楽』(小泉武夫、講談社文庫)読後も糸を引く度90点

 

●『ベテルギウスの超新星爆発』(野本陽代、幻冬舎新書)オリオン座の右肩にある赤色巨星ベテルギウス、その超新星暴発の可能性をさぐる。超新星爆発度88点

 

●『チャイコフスキーがなぜか好き』(亀山郁夫、PHP新書)チャイコフスキーのことがたくさん書かれているようなタイトルで、ほとんど書かれていない。だから、なぜか好き度98点

 

●『ドストエフスキー「悪霊」の衝撃』(亀山郁夫、光文社新書)もう一度読みたくなる悪霊度90点

 

●『年譜 宮澤賢治伝』(堀尾青史、中公文庫)1896年(明治の三陸大地震の年)に生まれ、1933年(昭和の三陸大地震の年)に亡くなった宮澤賢治の生涯。地獄、餓鬼、畜生、阿修羅度85点

 

●『瓦礫の中から言葉を』(辺見庸、NHK出版新書)東日本大震災に言葉はなにができたかを問う。沈黙度92点

 

●『逃亡』(帚木蓬生、新潮文庫上下)食べながら読み、歩きながら読み、夢のなかでも読み、主人公と一緒に逃げるように読み、3日で上下読了。追いかけ度96点

●『坊ちゃん』(夏目漱石、青空文庫)。電書(青空文庫)で読む。旧制中学に赴任した、形式的偽善を嫌う江戸っ子24歳の数学教師・坊ちゃんの青春記。明治事大のスクールもの。文章は軽快、明快。漱石入門に最適。青春小説度91点。

 

●『幻夜』(東野圭吾、集英社文庫)。約800ページ。最後まで読ませるのだから文句は不要?それでも贅言が許されるなら、なぜその女は新海美冬という別人になる必要があったのか、いまひとつ不明。もう一人の主人公・雅也が通っていた下町の定食屋『おかだ』のような店が近くにあるといいのですが。肉野菜炒め定食大盛り度88度。

 

●『キリン』(山田悠介、角川文庫)精子バンクから天才の精子を買い子どもを産んだ母親とその二人の子どもの物語。兄の名は秀才、弟の名は麒麟。秀才は数学の天才、麒麟はやさしい心の持ち主だった。二人の将来になにが待っているのか。頭の良し悪しで子を差別する母親の意地悪なこと。一気読み度94点。

 

●『いたいのいたいの、とんでゆけ』(三秋縋、メディアワークス文庫)。著者作品は『恋する寄生虫』に続き二作目。ある夜、僕は飲酒運転で一人の少女をはねる。その少女には「あったことをないことにできる」不思議な力が。終盤はつじつま合わせのよう‥。『寄生虫』が勝ち度91点。

 

●『カラフル』(森絵都、文春文庫)帯に「高校生が選んだ読みたい文庫No.1」、さらに「大人も泣ける青春小説。累計100万部突破の名作」と。人にはいろんな色がある。だからカラフル。主人公が見た色は真っ暗闇。泣かない度91点。

 

●『あなたに不利な証拠としてな』(ローリー・ドラモンド、駒月雅子訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)。人を殺した経験をもつ警官、事故で障害を背負った警官など、5人の女性警察官を主人公にした連作。07年の「このミステリーがすごい!」作品だが、非ミステリー。著者は元警察官。つかまる度97点。

 

●『虐殺器官』(伊藤計劃、ハヤカワ文庫)。世評高く傑作とされる国際軍事謀略サスペンス。テロ、格差、貧困、環境、グローバリズムなど様々な要素を盛り込む。カフカ談義も登場。カフカは安全ヘルメットの考案者。主人公は国家的殺人=暗殺を遂行する米国情報軍特殊検索群大尉。物語に弾丸飛び交う。ヘルメット度98点。

 

●『僕らの社会主義』(國分功一郎・山崎亮、ちくま新書)。マルクス・レーニンの社会主義、キリスト教的、審美的社会主義など、いろいろな社会主義が。いろいろな社会主義のいいところを主義から離れて、取り入れて行こうという一冊。キーワードは参加。新名募集度91点。

 

●『マッキンゼーが予測する未来 近未来のビジネスは、4つの力に支配されている』(リチャード・ドッブスト他、吉良直人訳、ダイヤモンド社)。著者は、世界有数のコンサルティングファームとされるマッキンゼーの経営および世界経済の研究部門、MGS(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)の研究メンバー。4つの力とは、経済の重心の移動、テクノロジーインパクト、地球規模の老化、グローバリゼーション。未来楽観度88点。

 

●『花咲舞が黙ってない』(池井戸潤、中公文庫)。TVドラマにもなった東京第一銀行の跳ねっ返り娘・花咲舞が、行内トップに巣食う不正に迫る。あの半澤直樹が物語終盤で活躍。跳ねっ返り度93点。

 

●『吾輩は猫である』(夏目漱石、青空文庫)。初読は本、旧字旧仮名。以来30余年。再読は電書、新字新仮名。四文字熟語の宝庫。冥頑不霊(めいがんふれい)、灼然炳乎(しゃくぜんへいこ)、琳琅璆鏘(りんろうきゅうそう)、悖徳没倫(はいとくぼつりん)。わからない。猫度86点。

 

●『十角館の殺人(新装改訂版)』(綾辻行人、講談社文庫)。寝食を忘れて没読、耽読。闇の海に投げ入れたガラス壜は、だれの元に届いたか。新本格ミステリーの嚆矢。おすすめ耽読度97点。



●『ライ麦畑でつかまえて』(J.D.サリンジャー、野崎孝訳、白水Uブックス)。意気地なし、弱虫の主人公・僕(ホールデン・コールフィールド)、宙吊りになった自我の着地点をさがして‥。1951年の作品。主人公はいまも生きている。つかまらない度91点。

 

●『我が心は石にあらず』(高橋和巳著、新潮社、古書)戦後日本の労働組合運動をテーマにした小説。主人公は組合委員長として運動を推進する一方、隠された関係が‥。不倫は等価交換。固定化された条件下で成立する。条件が変われば関係は流動化する。懲りない男と女の労働運動度89点。

 

●『熱狂の王 ドナルド・トランプ」(マイケル・ダントニオ著、高取芳彦・吉川南訳、発売インプレス)。Twitter、Facebook、インスタ、LINE、自撮り、自己宣伝‥、CGMを通して自我拡大できる現代。「トランプは現代を生きるわれわれの誇張された姿に過ぎない」。それに同意・不同意は自由。結局わからない度98点。

 

●『生きる日  死ぬ日』(水上勉、福武書店)小さな村に生きる人々、家族の風景が15景。失われた日本の原風景がここにあるような。こういう作品を書く作家、きっと今はもういない。棺桶づくり仙六の殯の場面は胸を打つ。失われた風景度96点。

 

●『追憶の作家たち』(宮田毬栄著、文春新書)。追憶の作家たちは、松本清張、西條八十、埴谷雄高、島尾敏雄、大岡昇平、石川淳、日野啓三の7人。著者は元文芸雑誌「海」編集長。追憶度92点。

 

●『難解人間VS躁鬱人間  埴谷雄高VS北杜夫』(中央公論社、古書)宇宙、黒沢映画、ファウスト、巨人・阪神戦、米と梅干‥、対談時間11時間、話題は天から地へ、ミクロからマクロへ、勝手気儘、縦横無尽、支離滅裂、無法に散らばる。マラソン対談度97点。

 

●『深沢紅子 随筆集 追憶の詩人たち』(教育出版センター、古書)。著者は盛岡生まれの洋画家、装丁家。立原道造、堀辰雄、野村英夫らの思い出をつづる文章は、さまざまな花が咲き、木々は色づきスケッチ画のよう。絵画度95点。

 

●『幕末バトル・ロワイヤル 井伊直弼の首』(野口武彦著、新潮新書)安政の大獄のころ、大地震、大水、コレラ(安藤広重はコレラで死す)、ドナチ彗星‥と天は裂け、大地は揺れ、状況混沌。「政治史と災害史とは、同じ布地に織り込まれて進行する」。幕末織物度93点。

 

●『中原中也「山羊の歌」全釈』(太田静一著、鳥影社、古書)中原中也の詩解釈に一石を投じる一冊。著名詩「汚れつちまつた悲しみに」は、中也自身のことではなく、恋人だった長谷川泰子を揶揄する詩という。「汚れつちまつた」おどろき度91点。

 

●『邪宗門』(高橋和巳、河出文庫上下)。上下各600ページ。昭和という時代と正対した戦後文学の高い峰の一つ。第二部第二章冒頭、戦中の大阪貧民窟の描写は美しい。超おすすめ度99点。

 

●『詩人 高見順 その生と死』(上林猷夫著、講談社、1991年、古書)。詩人による詩人・小説家・高見順(1965年没)の評伝。「蹴らないでくれ 眠らせてほしい もうここで ただひたすら 眠らせてくれ」(高見順『死の淵より』から「小石」)。小石は蹴りたい度91点。 

 

●『読書の腕前』(岡崎武志著、光文社知恵の森文庫)。書評家、ライターの岡崎武志さんの読書履歴、読書遍歴。最終章『蔵書のからの「蔵出し」おすすめ本』は読書自在。負けずに読みたくなる度93点。

 

●『富永太郎 書簡を通して見た生涯と作品』(大岡昇平、中央公論、古書)。富永太郎は大正14年、24歳で夭折の詩人・画家。中原中也にボードレーヌ、ランボーらの存在を教えた。「よく星のすべる晩だ。一服吸う間に二十四も星がすべった」(大正10年8月12日付書簡から)。この流星はペルセウス座流星群。約100年前、東京の夜空には降るように流星が‥。星に願い度96点。

 

●『日本はこの先どうなるのか』(高橋洋一著、幻冬舎)。マイナス金利、イギリスEU離脱、アベノミクスの評価など日本の現在を解説する第一部と集団的自衛権を中心に日本が戦争に巻き込まれない戦略を語る第二部からなる。「願うだけで平和が実現できるなら、世界はとっくに平和になっている」。ごもっとも度91点。

 

●『古本道入門』(岡崎武志著、中公文庫)。古紙と印刷インキがまざったような古書店のにおいがする一冊。古本・古本屋さんについて多くの発見が‥。古くて新しい度96点。

 

●『ブレイブ・ストーリー』(宮部みゆき、角川文庫上中下)。ベストセラーになったファンタジー冒険小説。幻界の国のひとつ、薬になるという涙の水をつくる「ティアズヘブン」のエピソードが印象的。一気読み度97点。

 

●『恋の寄生虫』(三秋縋、メディアワークス文庫)。恋は寄生虫のせいなのか、それとも‥。物語に出てくる寄生虫「ナナホシクドア」は名前のとおり星のよう。人を終宿主とする寄生虫は、泣き虫、弱虫、えへん虫‥。どこかのノーベル賞候補の小説よりずっとおもしろい度95点。

 

●『フルトヴェングラー』(吉田秀和、河出文庫)。フルトヴェングラーの演奏はほとんど聴いたことがない。著者の文章もほとんど読んだことがない。そして思う。音楽は音の連なりであって、そこに思想性はない。音楽が聞こえない度98点。

 

●『安井かずみがいた時代』(島崎今日子、集英社文庫)証言でたどる作詞家・安井かずみの真実。日本の青春、1960年代・70年代のポップシーン通覧にも格好の書。時代度94点。

 

●『ブビリア古書堂の事件手帖7』(三上延、メディアワークス文庫)。シェイクスピアの初めて出版された作品集「ファーストフォリオ」の真贋をめぐって‥。読むべきか読まないべきか度90点。

 

●『乱反射』(貫井徳郎、朝日文庫)。事件は、1本の街路樹の根元に犬のフンを放置した飼い主の身勝手から始まった。後先を考えぬ些細なわがままがいくつか重なり、思わぬ方向に反射し、結果として人の命を奪うことになったらあなたならどうする。跳ね返り度90点。

 

●『3日で運がよくなるそうじ力』(舛田光洋、王様文庫)。窓をみがく、鏡をみがくことは自分をみがくこと。そうじをするだけで環境が変わり、自分も変わり、未来も変わる。毎日充実、運気も加速!たまにはそうじをするか度90点。

 

●『職業としての小説家』(村上春樹、新潮文庫)。小説家を職業とする村上春樹さんの小説家としてスタンス、態度表明と自慢話しにならないように書いた自慢話し。彼自身が重さや思想性を求めていないことに納得。村上春樹度・ノーベル文学賞度97点。

 

●『ドストエフスキー 謎とちから』(亀山郁夫、文春新書)。おもにロシア分離派(鞭身派、去勢派)と性の視点からドストエフスキー作品内部に隠されている真実に挑む 。『カラマーゾフの兄弟』に登場するスメルジャコフの父親はだれか、その推理に本書の意図が凝縮されているような。なぞなぞ度91点。

 

●『小説家が読むドストエフスキー』(加賀乙彦、集英社新書)。「罪と罰」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」などドストエフスキーの5作品を中心にその文学世界を探る。きっとドストエフスキーを読む気になる度98点。

 

●『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(太田匡彦、朝日文庫)。殺処分されていく命の現実を知る。改正動物愛護法で殺処分される犬たち、猫たちが少しでも減るように。無責任人間度96点。

 

●『ファーガソンの薫陶』(田邊雅之、幻冬舎)。サッカー、マンチェスターUの監督を27年間務めたファーガソンの軌跡。「運・不運まで完璧にコントロールすることはできない。だが努力すれば、幸運の女神が振り向いてくれる回数を増やしたり、不運なアクシデントの確率を減らすことはできるはずだ」。薫陶度87点。

 

●『モウリーニョ 成功の秘密』(タカ大丸訳、実業之日本社)選手、チームスタッフ、代理人など多くのコメントを通して、サッカー界のカリスマ監督、モウリーニョの実像にせまる。ゴ~~~~ル度88点。

 

●『僕はマゼランと旅した』(スチュアート・ダイベック、柴田元幸訳、白水社)。再読。高架橋の鉄道、ポンコツ車のエンジン、ショットバーのグラス、安アパートの配水管‥。シカゴを舞台にした11の連作短編。都会のいろいろな音が聞こえる。音楽度91点。

 

●『何者』(朝井リョウ、新潮文庫)。再読就活する若者群像。SNSが物語の先導役をはたした小説の嚆矢(たぶん)。今思えば一人ぐらい反権力志向の奴がいてほしかった。それは時代です、といってはいけないのだろう。何者でもない何者度90点。



●『王とサーカス』(米澤穂信著、東京創元社)。「ハゲワシと少女」という写真の話が出てくる。痩せ衰えいまにも倒れそうな少女とその背後で少女の死を待つハゲワシの写真。カメラマンはピュリッツァー賞を受賞。同時に「なぜ少女を助けなかったのか」の非難を浴び、後、彼は自殺する。ネパールで王族殺害事件に遭遇したライターの物語を通して、なぜ伝えるのかという問題を問う。問いかけ度97点。

 

●『賢治の音楽室』(林光著、吉増剛造朗読、小学館、付CD)。宮澤賢治生誕120年記念(1896年、明治29年生まれ)に。「星めぐりの歌」と「牧歌」は双子のよう。音楽好きと音楽的才能はべつ。なんでもなれ合いと惰性の「いいね」ではなにも生まれない度91点。

 

●『コミックでわかる アドラー心理学』(向後千春監修 KADOKAWA)。アドラー心理学のアウトライン理解への好書。劣等感はアドラーの発見とは知りませんでした。わかった気になれる度90点。

 

●『君の名は』(新海誠著、角川文庫)。からだが入れ替わった男の子と女の子のすれちがいと出会いを描くファンタジー。多くの人に支持されるのは、誰もが心の中にこんな物語をもっているからでしょう。男女入れ替わり度96点。

 

●『コンビニ人間』(村田紗耶香、文藝春秋)。賞受賞の著者だけが救われ、きっと実際にコンビニで働く人も、読者の自分も救われず。それが現実‥。インコンビニエンス度87点。

 

●『ポール・マッカートニー 告白』(奥田祐士訳、DU BOOKS)。「告白」だから刺さる内容を期待。読めば「ポール、ふつうに語る」。ポールの歌「Waterfalls」や「Somedays」の聴きやすさのように、読みやすいのが救い。ポールファンにおすすめ度88点。

 

●『負ける技術』(カレー澤薫、講談社文庫)。クールで潔い負け方伝授の本ではない。中身はコラムが130あまり。晴れでも、雨でもない、中途半端な曇り空がつづく一冊。勝てない技術度91点。

 

●『終わらざる夏』(浅田次郎、集英社文庫)。太平洋戦争末期、孤絶した千島列島最北端の島、占守島(シュムシュ)をめぐる終わらざる夏の光と影、戦争の不条理と矛盾を描く。千島列島の歴史度90点。

 

●『短編工場』(集英社文庫編集部編)短編12編。ネコが出てくる短編で新たに『短編工場』を編めばまた選ばれるだろう石田衣良『ふたりの名前』、熊谷達也『川崎船』、村山由佳『約束』などが印象的。電車内読書に最適度91点。

 

●『スコーレ No.4』(宮下奈都、光文社文庫)。三姉妹長女の成長物語。その時々の空気感、気持ちのありようが見えるよう(とくに前半)。『羊と鋼の森』よりこっち度90点。

 

●『新カラマーゾフの兄弟』(亀山郁夫、河出書房新社)。上下巻700ページ。父親殺しをめぐる兄弟間の使嗾と黙過、罪意識の連鎖の後に訪れる結末は‥。兄弟度91点。

 

●『武満徹・音楽創造への旅』(立花隆、文藝春秋)。充実した音楽を聴いたときのような読後感。武満徹が亡くなって今年で20年。調性の彼方度97点。

 

●『海賊とよばれた男』(百田尚樹、講談社文庫)。国際石油資本(メジャー)によらぬ日本の石油産業確立へ生涯をかけた男の一代記。石油をめぐる日本の戦前・戦後史。エネルギー度89点。

 

●『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(村上春樹、新潮文庫)。既読村上作品のなかで一番おもしろく読む。充実読書時間。終わりは始まり度96点。

 

●『羊と鋼の森』(宮下奈都、文藝春秋)。本屋大賞受賞作‥。若いピアノ調律師の物語。すんだ音、やわらかな音、とがった音、鋭い音‥。音の形容がいろいろ出てくるのに、読んでいて自分には少しも音は聴こえてこなかった。音のしない森度90点。

 

●『海辺のカフカ』(村上春樹、新潮文庫)。ネコと話す。空からイワシにアジ、ヒルが降る。なぜ。象徴性、意味性、必然性なんて超えていけ!窓辺のカラス度93点。

 

●『羊をめぐる冒険』(村上春樹、講談社文庫)。主人公の「非現実的な凡庸さがたどる運命」は、やっぱり凡庸だった。「耳」はどうなったのだろう。冒険度89点。

 

●『埴谷雄高 夢みるカント』(熊野純彦、講談社)埴谷雄高の小説『死霊』を読み解く一冊。わかったこと、自分とは自分ではないこと。いま存在することが、ありえたもの、未出現なことがらを抑圧するものであるなら、自分とは無数の抹消、抹殺の痕跡である。チンプンカント度93点。

 

●『鹿の王』(上橋菜穂子、KADOKAWA)人、獣、自然、そして対立。多層、多様共生をつなぐキーワードは均衡か。鹿の王は、種を守るために命を投げ出す勇気ある者。個にして他、しかも全体。ヒロイック度90点

 

●『流』(東山彰良、講談社)。友人を助けるために組織に殴りこみ、約束をすっ飛ばしてしまった主人公が、一晩中待っていた毛毛と会うシー ンは美しい。「文学はとき卑劣千万、ときに勇猛果敢」度92点。



●『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎、新潮文庫)。同書が本屋大賞受賞作とは不明でした(映画にもなった)。事件の背後に底知れぬ不気味な力の関与があるのはいいけど、その正体が不明なまま終わってしまうのは‥。欲求不満度90点。

 

●『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル、早川書房)。ベンサム、カント、ロールズなどの考えを参照しながら、これからの正義とはなにかを問う。前の世代の過ちに対して道徳的責任を負わないのは正義か不正義か度90点。

 

●『銀翼のイカロス』(池井戸潤、ダイヤモンド社)。「半沢直樹シリーズ」完結の書。とりわけ終章の「信用の砦」は、それにふさわしい充実した内容。満たされ度96点。

 

●『下町ロケット』(池井戸潤、小学館文庫)。中小企業対大企業。組織は内部的要因よりも外部的要因で団結する。「半沢直樹」 シリーズにくらべ語り口いまひとつ。読書推進エンジン燃焼度88点

 

●『流星ワゴン』(重松清、講談社文庫)「こんな生活、もうたくさん」と思ったとき、目の前に過去へタイムスリップできる車が止まったら‥。そんな車に乗った主人公は‥。バックトウザフュチャー度90点。

 

●『モダンタイムズ』(伊坂幸太郎、講談社文庫上下)。主人公の友人としてに井坂好太郎という名の作家が登場。彼が書いた小説が、小説のなかの小説しとして彼とともに狂言回し役を。チャップリン度90点。

 

●『ソロモンの偽証』(宮部みゆき、新潮文庫、「事件」「決意」「法廷」各上下全6冊)エンターテイメント度高得点。ただ「ソロモン」の意味わからず。物語中でそれを解いてほしかった。文庫全6巻大部ゆえの読了度93点。

 

●『さよなら妖精』(米澤穂信、創元推理文庫)。ユーゴからやってきたマーヤと偶然出会った高校生たちの物語。主人公の一人、大刀洗万智の性格は見えるよう。険のある目元、愛想なし、自分のことわかってもらおうという気持がまるで感じられないようなタイプ‥。こういう人いるいる。大刀洗さんこんにちは度95点。

 

『ニッポンの音楽』(佐々木敦、講談社現代新書)。1960年代から今日まで、日本のポピュラー音楽を通覧する一冊。音楽を取り巻く状況との関係も解説。JポップのJは、Jリーグ、JT、JRなど80年代後半バブル時に出揃ったJ。JJ度90点。

 

●『伊東静雄全集』(全1巻、人文書院)。一番知られている詩は、おそらく合唱曲にもなっている『そんなに凝視めるな』。「そんなに凝視めるな わかい友(中略) 手にふるる野花はそれを摘み 花とみづからをささへつつ歩みを運べ」。凝視める度91点

 

●『教団X』(中村文則、集英社)。宇宙、宗教、命、性のことなどを突き詰めようという意味で読みごたえのある一冊。ただ真実味を感じず。すごそうですが‥。衒学度93点。

 

●『火花』(又吉直樹、文藝春秋)。話題性から文芸誌的小説の底辺拡大と小説のサブカル化に貢献。終盤の神谷の豊胸手術は、それに抗する僕の「正義」を表明したいための付け足しのよう。タイトルの割に火花飛ばない度90点。

 

●『希求の詩人中原中也』(笠原敏雄著、麗澤大学出版会)。著者独自の心理療法の視点から詩人中原中也の新たな姿を追求。よごれちまった悲しみ度90点。

 

●『天使の事典』(ジョン・ロナー著、柏書房)。人と話をしていてふと会話が途切れたとき、それを「天使が通った」というそうです。天使は神と人間の間に位置する存在。善い天使もいれば悪い天使もいる度90点。

 

『武田泰淳と竹内好』(渡邉一民、みすず書房)。戦前発行の雑誌「中国文学」の中心的存在だった両者の中国との関わりを描く。『司馬遷』『風媒花』『富士』など武田泰淳の作品解説に関心をもって読む。中国より諸行無常度90点

 

●『M/Tと森のフシギの物語』(大江健三郎、講談社文庫)作者の故郷、愛媛県内子町の森を舞台に歴史と神話が織りなす「ユートピア伝説」を描く。森の宇宙度90点

 

●『ウィーン1899年の事件』(ラリー・ウルフ、寺門泰彦訳、晶文社)。1899年、ウィーンで起きた児童虐待事件や関連裁判から見た世紀末模様。同時代に生きた精神分析家・フロイトが、なぜこの問題に無関心だったのか、その謎解きがサブテーマ。フロイト度90点。

 

●『地方消滅の罠』(山下祐介、ちくま新書)。ベストセラー『地方消滅』(増田寛也編著、中公新書)への反論として書かれた。『地方消滅』の人口減少対策「集中と選択」 に対して「多様性の共生」を掲げるも、具体策は希薄。この20年で小学校約3千校が廃校という数字に衝撃。多様性の共生>選択と集中度88点

 

●『地方消滅』(増田寛也編著、中公新書)。「Jターン」「Iターン」「Uターン」などの地方への人口還流をどのように見ているのだろう。また「地域おこし協力隊」などの活動と『地方消滅』の人口減少対策「選択と集中」はどのように折り合うのだろう。地方不滅度90点。

 

●『モモ』(ミヒャエル・エンデ、大島かおり訳、岩波書店)。初版1976年。ファンタジーの古典的名作。人を追い立てる時間どろぼうと、人が人らしく生きる時間を取り戻してくれる不思議少女モモの物語。時間に追われ生きることの意味を忘れた人間へのメッセージ。時間とは自分自身なのです。モモ度96点。

 

●『獣の奏者』「探究編」「完結編」(上橋菜穂子、講談社文庫)。全4冊読了。王獣は核兵器、闘蛇はミサイル、航空母艦、 戦車か。人と獣の交感、共生、ありようを問う長編ファンタジー完結。長編完結度91点。

 

●『獣の奏者』「闘蛇編」「王獣編」(上橋菜穂子、講談社文庫)。状況は人を規定する。しかし、状況を撃つことができる。「罪という言葉で人を縛る」を否定する意味は。主人公たちの心を映すような情景描写が美しい。物語推進度89点。

 

●『小暮写眞館』(宮部みゆき、講談社文庫)。上下合わせて約1000ページ。最後までせっせと読んであの結末‥。帯に「感動のこの結末を。」と書かれてた。それを信じたわたしが悪いのよ度95点。

 

●『発火点』(真保裕一著、講談社文庫)。友人に殺された父の死の真相を求めて、主人公「俺」の12歳から21歳までの軌跡。 読書欲点火度92点。

 

●『心身快楽』(武田泰淳、創樹社、古本)武田泰淳(1912~1976年)の残したエッセイを自伝的に編集したもの。自伝的小説、宗教と革命の相克を描いた『快楽』に関する一文があって購入。快楽(けらく)とは、普通の快楽を捨てることによって得られる快楽のこと。心身快楽度90点。

 

●『宮沢賢治とドストエフスキー』(清水正、創樹社、古本)。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」とドストエフスキーの作品との共通性を考察する一冊。ザネリがジョバンニの分身的存在という視点には瞠目。ただ、比較することの意味が不明度93点。

 

●『ウラ読みドストエフスキー』(清水正、清流出版、2006年)。『罪と罰』の主人公、ラスコーリニコフという名は悪魔の意味はともかく、『カラマゾフの兄弟』のゾシマ長老に子供がいたという説には驚き。オモテ読みしてないとわからない度92点。

 

●『埴谷雄高は最後にこう語った』(利き手:松本健一、毎日新聞社)。永久革命者とは「人類の頭蓋のなかで石のように硬化してしまった或る思考法を、 根底から引っくりかえすような思考法を打ちだすもの」。永久妄想度96点。

 

●『スティーブン・ホーキング 天才科学者の光と影』(早川文庫)。車イスの宇宙物理学者ホーキングの真実。彼は難病(ALS)だけではなく、スロープの改善など身体障害者の必要のためにも戦った。ブラックホールは爆発する度92点。

 

●『クリムト』(C.M.ネーベハイ、野村太郎訳、美術公論社、古書)。ウィーン世紀末の代表的画家クリムトの作品と生涯。周知のベートーベン・フリーズや「医学」「法律」「哲学」より風景画(「アッター湖畔ウンテラハの教会」)に関心。新世紀始まり度90点。

 

●『大衆音楽の真実』(中村とうよう、ミュージックマガジン、1986年)。故中村とうようさんの労作。ポルトガル、スペインがアフリカ、アジア、ラテンアメリカに侵攻、植民地化して以来、音楽はどのように混血化しその地に生まれてきたか。大衆音楽(ポピュラーミュージック)の歴史が聴こえる度93点。

 

●『アンダーグラウンド』(村上春樹、講談社文庫)。地下鉄サリン事件(1995年3月20日)に取材したノンフィクション。事件からすでに20年。本書の、オウムの「物語」に対峙できる物語が、あなたに本当にありますかという問いかけは、今も生きている度98点。

 

●『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹、文藝春秋)。大震災以降、軽々にいわれた「絆」状況への一つの答えのように読む。巡礼は色彩をつくる度91点。続編期待度88点。意味ありげなクラシック音楽はもうやめて度96点。

 

●ドストエフスキー『悪霊』(亀山郁夫訳、光文社文庫、全3巻)。でまかせ、ほのめかし、唆しの悪霊男、ピョートル・ヴェルホヴェンスキーはよくわか る。ニヒリスト・スタヴローギン自殺の理由は、いまひとつ不明。平明な訳の一方、明暗、陰影に欠ける悪霊度90点。

 

●『やくざと日本人』(猪野健治著、ちくま文庫)。やくざ500年の歴史。学校では決して教えない日本史度95点。

 

●『そうだっのか!中国』(池上彰著、集英社文庫)。テレビで話を聴くように読む。1989年の天安門事件への危機感から愛国心教育へ。それが反日運動へ、の文脈に、そうだったのか!そうだったのか度93点。

 

●『集合知とは何か』(西垣通著、中公新書)。ネット時代の知、集合知がとくに注目されるのは、福島原発事故での関係者の対応など、専門知への信頼性低下が背景に。ならば集合知は信頼に足るか。集合知は万能知、魔法知にあらず。個人知の深化が基本度93点。

 

●『人はなぜ逃げおくれるのか 災害の心理学』(広瀬弘忠著、集英社新書)。主なテーマは災害と個人の関係。自分の災害観を再認識。逃げるが勝ち度94点。

 

●『永遠の0(ゼロ)』(百田尚樹著、講談社文庫)。約600ページ。その厚さを超える深い感動。0(ゼロ)の意味は「零戦」の「零」だけではなく、すべて消える、ここから始まる、いろんな意味の「零」。永遠の小説度98点。

 

●『群れずに生きる』(筧利夫著、角川書店)。俳優という仕事のいろいろを語る。語り口は楽しいが、タイトルは内容を反映していないような。タイトル「人を喜ばせる生き方」がいい度95点。

 

●『1Q84』(村上春樹著、新潮社)平家物語、失われた時をもとめて、シンフォニエッタ‥。文学、音楽のエピソードたくさん。しかしその中味は深まらず、つまみ食いのような。つぎはぎだらけのパッチワーク度96点。

 

●『宮澤賢治』(吉本隆明著、ちくま学芸文庫)。厳しく弛緩のない、共感あふれる宮澤賢治論。「父の不在」「視点の移動」から「銀河鉄道の夜」を論じた一文に目の覚める思い。銀河鉄道の朝度92点。

 

●『吉本隆明初期詩集』(講談社)。「わたしは視た」と始まる「無心の歌」は、ランボー「酔いどれ船」の「ぼくは見た」の影響?これをモチーフに、ギンズバーグが「吠える」を書き、ディランが歌をつくった。日本では「家政婦は見た」から「家政婦の三田」に。ぼくも見た度94点。

 

●『宇宙になぜ我々が存在するのか』(村山斉著、講談社ブルーバックス)。物質には必ず反物質があって、両者が出会うと消滅する。では、宇宙にたくさんの物質が存在しているのはなぜ。そのバランスを崩したのがニュートリノ。ニュートリノのおかげで宇宙には物質があり、人もいる。ニュートリノは左巻き。私の頭も左巻き度96点。

 

●『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』(早野透著、中公新書)。番記者が語る政治家・田中角栄の真実。同窓会といえば小学校の一つしかもてなかった田中が首相になったとき、人々は拍手喝采を送った。その後の暗転に、なにが問われたのか。「悲しき自画像」とは、ひとり田中だけの意味か度92点。

 

●『白痴』(ドストエフスキー、木村浩訳、新潮文庫上下)。その純粋さ故に自分が理解できない者を、人は「白痴」と呼び、自分を隠蔽、合理化しようとする。ほんとうの白痴はだれだ度92点。

 

●『第九 ベートーヴェン最大の交響曲の神話』」(中川右介著、幻冬舎新書)ベートーヴェンの9番目の交響曲が、どのような歴史を経て今日の「第九」になったか。「第九」の歴史本。歴史には年表がつきもの。「第九年表」があればもっとよかった度96点。

 

●『日本の国境問題』(孫崎享著、ちくま新書)尖閣諸島、竹島、北方領土は、日本の領土にあらず。日本「固有」の領土という、「固有」とはなか。国家・メディア一体の領土プロパガンダに抗す。日本は戦後ドイツの姿勢を見習うべき度99点。

 

●『日本は世界一の環境エネルギー大国』(平沼光、講談社新書)日本には再生可能エネルギーとして利用できる豊かな資源とそれらを開発する技術力を保有。だから日本は環境エネルギー大国。未来が少し明るく見える度88点。

 

●『小説の終焉』(西川政明、岩波新書)日本の小説史概観に格好の一冊。書名「小説の終焉」は、過去を凌駕する作品の誕生を願う著者メッセージと思うことに。始まりは終わり、終わりは始まり度96点

 

●『反ポピュリズム論』(渡邉恒雄、新潮新書)ポピュリズム(大衆迎合主義)がもたらした今日の政治的状況の克服=日本のギリシャ化回避。そのための処方箋は、消費税20%、無税国債導入でタンス預金など家庭埋蔵金活用、安全性向上を前提に原発再稼動など。これらに反対はポピュリズム度98点。

 

●『八日目の蝉』(角田光代、中公文庫)蝉は七日で死んでしまうけれど、人は八日目、九日目、十日目と‥。「八日目の蝉」は、生き残ったこと、生かされていることのたとえ。人はいつまで生きるかわからない「八日目の蝉」度88点

 

●『親鸞』(五木寛之、講談社文庫上下)人はみな悪人度94点

 

●『納豆の快楽』(小泉武夫、講談社文庫)読後も糸を引く度90点

 

●『ベテルギウスの超新星爆発』(野本陽代、幻冬舎新書)オリオン座の右肩にある赤色巨星ベテルギウス、その超新星暴発の可能性をさぐる。超新星爆発度88点

 

●『チャイコフスキーがなぜか好き』(亀山郁夫、PHP新書)チャイコフスキーのことがたくさん書かれているようなタイトルで、ほとんど書かれていない。だから、なぜか好き度98点

 

●『ドストエフスキー「悪霊」の衝撃』(亀山郁夫、光文社新書)もう一度読みたくなる悪霊度90点

 

●『年譜 宮澤賢治伝』(堀尾青史、中公文庫)1896年(明治の三陸大地震の年)に生まれ、1933年(昭和の三陸大地震の年)に亡くなった宮澤賢治の生涯。地獄、餓鬼、畜生、阿修羅度85点

 

●『瓦礫の中から言葉を』(辺見庸、NHK出版新書)東日本大震災に言葉はなにができたかを問う。沈黙度92点

 

●『逃亡』(帚木蓬生、新潮文庫上下)食べながら読み、歩きながら読み、夢のなかでも読み、主人公と一緒に逃げるように読み、3日で上下読了。追いかけ度96点